2024/04/14

ノルディックウォーキングでオッサンが細マッチョになることは可能なのか?

疑問系のタイトルではあるが、実際には答えが出ている。サンプル数1人の自験例として、ある程度は可能だな。ちょうど1年間、雨の日を除いてほぼ全ての休日にポールを持って出かけ、バウンディングストライドを含む10kmのノルディックウォーキングに励んでいた。すると、自分だけでなく妻や子供たちでさえ気持ち悪くて呆れる認めるくらいに体型が変わってきた。

ボディビルダーのようなゴリマッチョではなく、腹筋がシックスパックに割れて大胸筋や上腕二頭筋が盛り上がった状態が細マッチョだと厳密に定義した場合、負荷を高めてもノルディックウォーキングだけで細マッチョになることは難しい。しかし、細身で引き締まったアスリート体型になることは可能だな。


最初に記しておく。シニアが健康運動で取り組んでいる普通のノルディックウォーキングにダイエットや筋トレの効果があるのかというと、個人的にはあまり感じられなかった。

私の場合はウォーキングを始める前の趣味がサイクリングだったので、カロリー消費が増えなかったという理由なのかもしれない。

普通のノルディックウォーキングを始めて2ヶ月くらいは体重や体型に変化がなく、心地よく汗を流して飯と酒が旨いという日々だった。回数を増やしても距離を増やしても、ノルディックウォーキングだけでは痩せない。それが私の結論だった。

ダイエットと筋トレは関連するが、それぞれのアプローチは異なる。まずはダイエットの話から始める。

ノルディックウォーキングの民間団体が認定している指導員あるいはインストラクターの中には私と同世代のオッサンがたくさんいる。彼らの胸や腹を観察すれば分かることだが、ノルディックウォーキングに熟達しているにも関わらず、中年太りで腹が出ていたりもする。

私もオッサンなのでよく分かるのだが、五十路くらいになると代謝が衰えて、太りやすくなった。しかも、炭水化物や油を使った料理が以前より美味しく感じる。

普通のノルディックウォーキングのカロリー消費はスナック菓子1袋分くらいだろうか。頑張って歩いて運動しても、帰り道でラーメンを食べて生ビールを飲んだだけでカロリー超過になり、痩せるどころか太る。

公認指導員やインストラクターのオッサンが太っているからといって、普通のノルディックウォーキングにダイエット効果がないとは言い切れない。

しかし、実際に自分で普通のノルディックウォーキングを数ヶ月も試して痩せなかったのだから、あまり効果がないのだろう。心身のリフレッシュやリラックス、総じて生きるためのモチベーションといった様々なメリットは十分に感じられるのだが。

その後、これではワークアウトとしての負荷が足りないということで、普通のノルディックウォーキングではなく、バウンディングストライドという跳走を取り入れたノルディックスキーウォーキングを開始した。「ノルディックウォーキング 走り方」で検索すると、それらをまとめた録がヒットする。

バウンディングストライドはジョギングよりも負荷が高くて厳しいので、クロスカントリーのスキーヤーのように最初から最後までバウンディングで進むことは私には難しい。

現役のボディビルダーの知人の話では、カロリー消費には心拍数の管理が重要であり、息が上がり始める状態を維持することで痩せるらしい。普通のノルディックウォーキングだけで心拍数を上げるには早足のシャカシャカ歩きを続ける必要があり、大変かつ無様だ。そもそもワークアウトとして何も楽しくない。

普通のノルディックウォーキングの途中でバウンディングを使うノルディックスキーウォーキングに切り替え、息が上がったところで普通のノルディックウォーキングに戻す。このようなインターバルトレーニングによって、心拍数のベースラインを高めて歩くことにした。

また、ボディビルダーの知人の話では、いくら運動しても飲み食いすれば確実に太るので、口に入れるものに気をつけろという話だった。なるほどそうかと学び、糖質と脂質の制限を開始した。この1年でラーメンや菓子パンを食べた記憶がほとんどない。コロナ期の体重から10kg以上も軽くなった。

加えて、彼の経験則では、ワークアウトの直前にブラックコーヒーを飲むと脂肪燃焼効果が高まるそうだ。私にはその機序がよく分からないけれど、なるほどそうかと学び、ブラックコーヒーをガブ飲みしてから出発するようになった。コーヒーを飲み過ぎるとウォーキングの最中で吐き気に襲われ、帰宅後も食欲が減退するという副次効果があることも学んだ。

次に、筋トレについて。

バウンディングを組み込んだ高負荷のノルディックウォーキングと食事制限によって、全身の贅肉を減らしながら、肩周りの筋肉を増やし、腹回りを引き締め、逆三角形の上半身をつくることは可能だな。パンツ一丁で鏡の前に立ち、自分という現物を眺めるとよく分かる。

自分の肩幅はこんなに広かったかなと不思議に思うくらいに肩の筋肉が太くなった。ビフォー・アフターの写真を撮影しておけば良かったな。サイクリングでは肩の筋肉を鍛えることが難しかったので、この変化が新鮮に感じる。

胸や腹回りの贅肉はすっかり落ち、スリムだった20代の頃に履いていたジーンズでさえ緩く感じる。尻や太股はひとまわり細くなり、ふくらはぎはサイクリングを趣味としていた時期とあまり変わらないくらいに引き締まった。

不思議なことに、上半身の筋肉については普通のノルディックウォーキングの方が負荷が高い。下半身の筋肉はバウンディングを含むノルディックスキーウォーキングの方が負荷が高まる。

そして、この運動は単独で黙々とストイックに取り組むことで効果が上がる。皆と会話しながら散歩代わりに歩いているような負荷では鍛えられない。

私の場合には、10年以上もロードバイクに乗るという趣味を続けてきたこともあり、自分の身体をストイックに追い込んでいくことにあまり抵抗がなかったりする。会話が困難なくらいの状態まで心拍数を上げ、時にバウンディングで勢い余って心肺が痛くなったり、肩や腕の筋肉が悲鳴を上げ、足が攣るくらいのノルディックウォーキングに取り組まないと、頑張った気がしない。シニアがこのペースのノルディックウォーキングを試すと命に関わる。

ノルディックウォーキングによって上半身の筋肉を鍛えるためには、自分に合ったポールの選択が重要だと思った。剛性が高く、ダイレクトに負荷がかかり、しかも衝撃を緩和するシナリがあり、バウンディングにも耐えられるくらいの強度があるポールが必要になる。

昨年の今頃にノルディックウォーキングを始めた頃、最初に手に入れたのはLEKIのスピンシャークSLという名前のアルミ製のポールだった。このポールにはそれなりの重量があり、やはりカーボン製の方が軽いと思って三分割タイプのクロストレイルを手に入れた。

カーボン製のクロストレイルはトレイルランニングにも対応しているという売り文句が付けられているけれど、実際にバウンディングで使用してみるとインパクト時のガタや歪が大きく、長期使用に耐えられないと判断した。連結部分などが折れたというユーザーレビューも見受けられる。

そこで、カーボン製かつワンピースタイプの軽量ポールであるヴァーティカルKを手に入れた。このモデルはスカイランニングでの使用を想定しており、非常に軽くて剛性がある。しかし、あまりに完成度が高過ぎてノルディックウォーキングでの上半身への負荷が足りない。レース志向のポールなのだから当然のことだ。

欧州で販売されているノルディックウォーキングレース用のスピードペーサーという製品を試したこともあった。さすがレース用のカーボンポールだ。確かに速く歩くことができるのだが、カチカチの高圧縮カーボンを使用しているので剛性が凄まじく、両腕に衝撃が伝わって嫌な疲労感が残る。

まあとにかく、セール品のLEKIのポールを格安で次々に購入し、自分のスタイルに合ったポールを探した。ポール沼を元気に泳いだとも表現しうる。残りの人生が10年なのか20年なのか分からない。考えることが面倒なので、さっさと候補品を手に入れて比べ、先に進もうと思った。

そして、自分でも笑ってしまうのだが、最終的にはLEKIのアルミ製の重いポールに戻った。10kmのノルディックウォーキングの後、数日間は上半身の筋肉痛が続くくらいの負荷を求めていたら、軽量ポールでは満足しない身体になってしまったらしい。

また、自転車を趣味にしていた時も、高剛性のカーボンフレームよりも、ウィップによる反発がある金属フレームの感触を私は好んでいて、よく似た好みがポールに反映されたらしい。

そして、多分な私感によって記すと、高負荷のノルディックウォーキングで最も負荷がかかる上半身の部位は、三角筋と上腕三頭筋がメインになる。肩の部分にパッドが入ったトップスを着ると見栄えがよく見えるけれど、ちょうど肩の外側にある筋肉が三角筋。ここを鍛えて腹回りを絞ると、正面から見て逆三角の上半身になる。

ノルディックウォーキングでは大胸筋が鍛えられるわけではないので、横から見ると薄い身体のままだが。

また、自分の身体からポールを離して地面を突くと三角筋に対して高めの負荷がかかり、ポールの間隔を狭めると上腕三頭筋に高めの負荷がかかる。

そして、高齢者のポールウォーキングのように腕を伸ばして前方でインパクトを行うと、一部ではあるが大胸筋と上腕二頭筋に負荷がかかる。興味深いことに、腕を伸ばして後方でインパクトを行うと、一部ではあるが僧帽筋と広背筋に負荷がかかる。

1回のノルディックウォーキングで1万歩を進んだとすると、ポールを持った両手は地面を5000回ずつ突くことになる。ポールのインパクト時には軽い負荷がかかるだけなので、通常のウェイトや自重を使った筋トレと比較することは困難ではあるけれど、5000回も腕を動かすわけだ。なるほど、真面目に取り組むと上半身の形が変わってくるという道理も理解しうる。

繰り返しになるが、上半身の筋肉を鍛えたい場合にはノルディックスキーウォーキングのバウンディングストライドで跳走するよりも、普通のノルディックウォーキングで手に力を入れて歩いた方が負荷がかかる。体育会系の人たちであれば説明するよりも実感してもらった方が理解が早い。

また、ノルディックウォーキングにガチで取り組むと、広背筋や脊柱起立筋、そして僧帽筋も鍛えられるらしく、休日が明けて平日に入ってからでも筋肉の位置が分かるくらいの感覚が残る。ノルディックウォーキングを続けていると肩凝りがなくなったとか、姿勢が良くなったという話を見聞きすることがあるけれど、おそらく肩や背中の筋肉に作用しているのだろう。

腹筋のシリーズについては背筋とのバランスを取るために鍛えられるのか、ポールワークで上半身を回すことで鍛えられるのか、私にはよく分からない。腹筋に対する負荷は小さいので、本気で鍛えるのであれば別のワークアウトが必要になる。けれど、腹回りの贅肉は落ちる。不思議なものだ。

他方、ノルディックウォーキングでは上腕二頭筋や大胸筋への負荷が軽すぎるので、筋トレとしての効果はほとんどないことだろう。私自身の身体を眺めてみても、贅肉は取れたが筋肉が増えた気がしない。おそらくだが、痩せたいけれど太い腕は嫌だという女性のダイエットには、ノルディックウォーキングが最適なのかもしれないな。ああそうか、欧州の若い女性たちがこのワークアウトに取り組んでいるのは、そういうことか。

では、上半身ではなく下半身、つまり尻や太股、ふくらはぎの筋肉についてはどうなのか。ノルディックウォーキングではポールワークによって歩幅は増えるけれど、全体の荷重が分散されるので、手ぶらのパワーウォーキングやジョギングと比べて足の筋肉への負荷が足りない。

ということで、先述の通り、クロスカントリーのスキーヤーの陸地トレーニングのようなバウンディングストライドをインターバルに取り入れてみた。バウンディングはスロージョギングと同じくらいか、むしろ遅いくらいのスピードなので、あまり効果がないように見えるかもしれない。

しかし、実際にはスクワットをしながら前に跳ぶような動作になるので、心拍数が一気に上がり、足の筋肉が悲鳴を上げ始める。初めてバウンディングを試した時には、筋肉痛が1週間くらい続いて大変なことになった。

ノルディックウォーキング1年目においては膝などの関節を痛めないよう、贅肉を落とすことを優先した。これからさらに身体を鍛えるには、手首にウェイトを取り付けたり、バウンディングの割合を増やしたりといった方向になるのだろうか。

素人判断は良くないので、現役のボディビルダーに鍛え方を教わることにしよう。そういえば、知り合いのボディビルダーが筋肉を増やすためにプロテインやサプリメントを大量に摂取していたところ、肝臓に負荷がかかって検査の数値が悪くなったらしい。そこで、肝機能を助けるためのサプリメントをさらに追加したそうだ。極限まで身体を鍛える人たちは大変だ。

とはいえ、自分の場合にはノルディックウォーキングを始めて色々と試しているうちに、気がつくとアスリート体型になっていたという話であり、細マッチョになったところで何の意味があるのかというと、特にない。

姿勢が矯正され、肩幅が広がって少しは見映えが良くなったとか、健康診断でメタボ判定される可能性が消え去ったとか、その程度だろうか。

異性にアピールするような人生のステージは過ぎてしまい、妻や子供たちから褒めてもらうこともない。ただの自己満足だ。

ポールを使ったトレーニングが楽しくて心地良いという単純な理由でノルディックウォーキングや食事制限を続けている。それに伴って体型が引き締まってくると、風呂上がりに鏡の前で少しだけ気持ちが楽になる。無様に弛んだ胸や腹の肉を見て落胆することがない。やはり、自己満足だ。