2024/01/28

意義深い腰痛と運良く手に入った最新式のカーボンポール

最近、ノルディックウォーキングの途中でバウンディングストライドによる跳走を繰り返していたところ、仙骨から腰椎の周りに強い痛みがやってきた。座り仕事が長く続いた時に腰が凝るという状態でもなく、いわゆるギックリ腰でもなく、重い筋肉痛のような不思議な痛みだ。いつも使っている湿布を貼っても、コルセットを巻いて保護しても痛みが鎮まる気配がない。

脊柱管狭窄あるいは腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛を疑ってみたのだが、経過が典型的ではない気がした。膝の裏が痺れている感覚があったりもするので、神経に負担がかかっていることは間違いないのだが、前に屈んでも後ろに反らしても腰が痛く、背中の筋肉までが張っている。


実際に味わったことがなく、その状況自体がありえないのでよく分からないが、まるで腰を中心に空手の打突を受け続けたような不思議な痛みだ。神経と筋肉の両方が痛みを生じている。

最近の自分の生活を振り返ると、この腰痛の背景にノルディックウォーキングがあることは間違いない。だが、ノルディックウォーキング自体は腰への負担を減らすはずだ。両手にポールを持って歩くわけだから、とりわけ上半身から腰への衝撃は緩和され、猫背も矯正される。腰に悪いはずがないのだが。

そういえば、ノルディックウォーキングを続けていたら姿勢が良くなり、通勤電車の窓に映る自分の身長が伸びたような気がしていた。併せて減量も捗り、タプタプになった胸や腹の肉を振るわせながら階段の上り下りで息切れすることもなくなった。

よし、これが最適解だと私なりに結論付けて、背筋を伸ばした姿勢のままノルディックウォーキングに励んできた。それ自体は何ら問題ないはずだ。

しかし、シニアたちが健康運動で取り組んでいるノルディックウォーキングの負荷があまりに少なくて物足りなくなった私は、クロスカントリーのスキーヤーたちの陸地トレーニングを独学で学び、バウンディングによって跳走するノルディックスキーウォーキングをワークアウトに取り入れ、何だこれは素晴らしいぞと感動してポールを持って飛び跳ねていた。

おそらく、この段階に問題があるのだろう。

ノルディックウォーキングを続けて姿勢が良くなって調子に乗った私は、そのままのフォームで背筋を伸ばし、胸を張ったままバウンディングを行う機会が増えていたことに気付いた。

ポールを持ってバウンディングを行う時には、通常のノルディックウォーキングよりもポールを長めに設定した方が効率的だ。

他方、ノルディックウォーキングでは後方に向かって腕とポールを振り出す、つまりフォロースルーを行った方が背筋が伸びる。フォロースルーを捗らせるためにはポールを(ノルディックウォーキングに適した)短めに設定した方が楽だ。

ポールワークに慣れてくると、ノルディックウォーキングに適した短めのポールであっても、そのまま跳走することができたりもする。

トレイルランナーがポールを持って走る際、そのサイズはノルディックウォーキングの場合とあまり変わらない。

彼らがどのようにポールを操っているのかというと、登り坂では手のひらで完全にグリップを握って短めに持ち、平地に差し掛かるとポールの中央を持って(ポールを使わずに)走ったりもする。

では、ポールの長さが足りなくなる下り坂でトレイルランナーがどのように対応するのかというと、可変式のポールであっても、登り坂や下り坂の度に長さを調整している余裕はない。ということで、親指と人差し指で輪を作り、その部分でポールの末端を引っかけることで実質的なポールの長さを伸ばしていたりもする。

なるほどそうかと思った私は、通常のノルディックウォーキングに適したサイズまで長さ固定式のカーボンポールをカットし、歩く際にはグリップを握り、バウンディングの際には親指と人差し指で輪を作って跳走していた。

だが、ノルディックウォーキングからバウンディングに移行する際に姿勢を切り替えていなかった。そう、ここが問題だったわけだ。

バウンディングとランニングはよく似たフォームなので、あまり胸を張りすぎると腰が反った状態になる。腰が反った状態で走ると腰痛になることがある。

ノルディックウォーキングではフォロースルーで腕を後方に投げ出すことで上半身が伸びて姿勢が良くなるのだが、ランニングで腕を後方に投げ出して走っている人を見かけることは少ない。余程に変わったフォームの人でない限り。

ウォーキングとランニングで姿勢を変えるのは自然なことだ。意識しなくても変えられる。しかし、ポールを持つと手が1メートル以上も伸びた状態になるわけで、手を使って身体を支えるという独特の感覚がある。それに慣れているはずもないので、フォームを意識して変える必要があるということか。

なるほど、クロスカントリースキーヤーたちがノルディックスキーウォーキングで跳走する時、どうして前傾姿勢や若干の猫背になっているのかという理由がよく分かった。ノルディックウォーキングのフォームは背筋を伸ばして歩くことが一般的だが、その状態のまま走ると腰に良くない。何事も経験だ。

他方、両手にポールを持って歩くという運動は腰痛の予防や改善に効果がある。急性期は無理をせず、その後はリハビリを兼ねて歩くことで腰痛が楽になってきた。ノルディックウォーキングで腰痛を起こし、ノルディックウォーキングで腰痛を治している私の状態は何とも逆説的だ。

バウンディングの際に腰を反らせないためにフォームを意識的に変えることができるのかというと不可能ではないことだろう。しかし、それよりも手っ取り早いのはポールの長さを伸ばすことだ。

ノルディックウォーキングに適したポールの長さは、ポールを垂直に持ったまま直立して肘が直角になる程度という考えが一般的だ。このポールの長さであれば、腕を後方に振って背中を伸ばすというフォロースルーが楽になる。

他方、バウンディングを含むノルディックスキーウォーキングの場合には、脇の下を目安に長尺のポールを使うことが多い。この場合、長めのポールが接地してくれるので跳走がスムーズになるけれど、後方へのフォロースルーができないので前傾姿勢になりやすい。

あくまで私の経験則だが、長いポールを使うと前のめりになるという傾向は、バウンディングだけではなくノルディックウォーキングでも同様だな。負荷と速度を高めたいノルディックウォーカーが長尺ポールを使って前傾姿勢で歩いていたりもする。

最近の私は、姿勢を良くする(正確には、姿勢が良くなってきたと自己満足していた)ために、フォロースルーが楽な短めのポールを使用していた。ポールワークに慣れてくると、短いポールでもバウンディングが可能になってきたりもする。

だが、ノルディックウォーキングのフォームのままで走ったことは失敗だった。腰が反った状態になり、腰椎付近に負担をかけて痛みが生じたのだろう。

バウンディングの最中に腰を反らせないためにはどうすれば良いかというと、前のめりになりやすい長めのポールを使うことだな。おそらくだが、腰痛持ちのノルディックウォーカーも同じようにポールの長さを調整しているかもしれない。

現在はノルディックウォーキングを重視しつつ、バウンディングにも使える長さにポールをカットして使っている。

しかし、アルミ製の長さ可変式のポール(LEKIのスピンシャークSL)を使っていた時にサイズを細かく調整して試したことがある。バウンディングを重視しつつノルディックウォーキングにも使えるポールの長さも記録されている。つまり、その長さにポールを設定すれば解決するということだろう。

とはいえ、私が使っているポールはカーボン製のワンピース式なので、すでに自分でカットしてしまった。ポールの長さを調整することができない。

かといって、途中で連結部分があるアルミ製のスピンシャークSLに戻る気にもなれない。インパクト時の硬い衝撃や連結部分の歪みが気になる。やはり、継ぎ目のない一本物のカーボンポールの軽さや衝撃吸収は素晴らしい。

これはどうしたものかとネットを見ていたら、AmazonでLEKIのカーボン製のポールが投げ売りされていた。最新式のハイスペックなトレイルランニングポールだったので、何かの間違いだと私は疑った。定価が3万円近いモデルが半額以下になっている。以前にチェックした時には定価と同じだったのだが。

AmazonはLEKIの製品に対して凄まじい値下げを仕掛けることがある。グローバル企業なので、日本の小規模な代理店を介さずにダイレクトで販売しているからだろうか。まるでAmazonが私の近況を知っていたかのように凄まじいタイミングで、しかも私が必要としているサイズの固定式カーボンポールのモデルだけを値下げしてきた。もはやアルミ製のポールよりも安い値が付いている。

しかも、Amazonのカートに入れて保留していたら、翌日にはさらに1000円以上も値引きがかかった。もはやAmazonに利益が出ないどころか赤字覚悟の価格設定だ。寅さんの「持ってけ、ドロボー!」という口上が頭に浮かぶ。

マーケットプレイスではなくて、Amazonが販売している商品なので偽物ではないことだろう。値段を調整しているオペレーターやAIが何かをミスったのか、(ノルディックウォーキングに使う場合には)サイズが長くて売れずに不良在庫になったのか、その理由は分からない。モデルチェンジの時期としては早過ぎる。

円安が長引き、物価が上がり続けている現在、輸入品については今のうちに手に入れた方が良いことだろう。定価ベースで値下がりするような気がしない。

ということで、何の躊躇もなくLEKIのカーボンポールを注文し、手元に届いた。

腰を痛めていなければ、Amazonの狂気を帯びた値引きに気が付かなかった。しかも、より長いサイズの固定式ポールだけがピンポイントで半額以下になるなんて、あまりにタイミングが良過ぎる。

これこそまさに怪我の功名なのか。辛い毎日でも地道に生き続けていれば少しは良いことがあるものだ。

さて、運良く手に入ったカーボン製のトレイルポールをノルディックスキーウォーキング用にカスタムすることにした。

アルミ製の可変式ポールを使って何度もウォーキングに出かけ、自分に適したポールの長さを書き留めてあるので、サイズの決定には困らない。ただし、先端のチップとラバーパッドの種類によってポールの長さが変わってくるので慎重に採寸する必要がある。

そもそも、LEKIのトレラン用やノルディック用のポールは、カタログ表示で同じサイズでもモデルによって実寸が異なることがよくある。特にグリップの種類が違うとポールと手を繋ぐシャークトリガーの位置が違ったりもするので、カタログ表示のサイズが頼りにならない。

アルミ製の可変式ポールを横に置き、現物合わせにてカーボン製ポールのカット長をミリ単位で計算する。カーボンポールをカットした後のヤスリを使った仕上げで2mm程度は削れるので、その分のマージンも確保しておく。相変わらず性格が細かい。

前回のカーボンポールを手に入れて、グリップとチップを外し、カットして長さを調整する時は苦労した。分からないことだらけだった。

しかし、何事も経験だな。

① LEKIのトレイル用やノルディック用のポールのグリップやチップは、数分間の湯煎で温めると外れる

② 外した後のポールや部品の接着剤は、プラスチック対応のパーツクリーナーで拭き取ることで除去できる

③ 目が細かいオルファの木工用ノコギリ(クラフトのこ)でカーボンポールをカットし、ヤスリで切断部位を整える

④ ポールをカットした後は、廉価品のグルーガンを使ってポールと部品を接着することができる

⑤ グルーガンを使う時には、ポールおよびグリップやチップの内部を熱湯で温めておく

というコツを掴むとポールの加工は難しくない。上記①でヒートガンが必要かなと思っていたけれど、使っていない魔法瓶に熱湯を入れて、そこにポールの先端を突っ込むだけ。コルク部分が劣化しそうな時にはビニール袋で包んで湯煎するとダメージが少ない。

腰の痛みが減ってきたところで、長めにサイズ調整したポールを持ってノルディックウォーキングに出かけた。

過去に可変式ポールで試した通り、長めのポールで歩くと前傾姿勢を取りやすい。バウンディングを試すと、以前よりも地面へのインパクトが楽で跳走が捗る。

なるほどこれは素晴らしいと、復路をスロージョギングのペースのバウンディングで走りながら戻ってきた。とても腰痛持ちの運動とは思えない。

試しにポールを使わずに走ってみると、背中を反らしていなくても腰に痛みがやってきた。両手でポールを持って地面を突くことで、腰への負荷を減らしていることは間違いない。膝や足首も同様。

背筋を伸ばして姿勢を矯正したい時やノルディックウォーキング中心の時には短めのポール、バウンディングで負荷を高めたい時には長めのポールといった調子で、ギアを選択すれば良いというわけだな。

LEKIの場合、サイズ可変型で二連式のノルディックウォーキング用もしくはトレイルランニング用のカーボン製ポールが日本国内で流通していない。

三連式のカーボンポールはインパクト時のガタ付きや強度が気になる。本国のサイトをチェックしてみると、「SPEED PACER VARIO」というモデルが二連式のカーボン製なのだが、ポールの先端には先曲がりの鋭利な金属が付いたスピードチップが採用されている。

なるほど、日本の環境を考えるとスピードチップを使う状況が想定されないし、このチップにはLEKI製の高価なラバーパッドしか適用できないということで、日本代理店が輸入を躊躇しているのかもしれないな。

そもそも、日本の場合にはノルディックポールを使っている人の多くは高齢者だ。彼らが高剛性でサイズ可変型、かつレース用の鋭利な金属チップが付いたカーボンポールを必要とするかどうか。たぶん輸入しても売れないことだろう。

他方、軽量かつコンパクトで携行性に優れ、サイズ調整も自由自在、廉価な日本製のラバーパッドを流用しうる三連式のカーボン製のトラベラーというモデルが国内のシニアに評価され、コンスタントに売れているということか。

今回手に入れたポールはトレラン用でスピードチップが標準仕様になっている。これでは1個で1000円もするLEKI純正のラバーパッドが必要になる。

そのため、日本製の廉価なラバーパッドを取り付けるため、スピードチップを取り外し、ノルディック用のフレックスチップに交換しようとした。ところが、このトレランポールはノルディックポールの末端よりも1mmくらい太いらしく、フレックスチップが入らない。LEKIの開発者がカスタムユーザーに対して細かなトラップを仕掛けてくる。

さて困ったなと試行錯誤していて気付いた。確かに、LEKIのスピードチップに日本製のノルディック用のラバーパッドを取り付けると、鋭利な金属部分がパッドを突き抜けるような不安がある。

しかし、スピードチップを湯煎で取り外し、前後を逆向きにしてポールに接着すると、ナイト工芸といった日本製のノルディック用ラバーパッドを取り付けることができる。実際に使ってみたけれど何の不具合もない。

ということで、今回はLEKIのトレイルランニングポールのチップをノルディック用のフレックスチップに交換せず、スピードチップの前後を逆に変更することにした。あまりにマニアックな豆知識なので、誰も情報を発信しないことだろう。

かくして、ポールを使わないパワーウォーキングを含めると、私のウォーキング生活は1年が経過しようとしている。10年以上もロードバイク等のサイクリングを趣味としていたが、あの散財が遠い過去のようだ。

ウォーキングポールは1~2万円。シューズやウェアはランニング用品で十分。ノルディックウォーキングはとても安上がりだ。サイクリングという趣味に戻る気になれない。

まあ、年齢も関係するのだろうな。30代でノルディックポールを握る気になれなかったし、ウォーキングなんて高齢者の運動だと見下していたりもした。

負荷を高めたノルディックウォーキングで腰痛を起こし、その腰痛をノルディックウォーキングで治すというのはおかしな話だが、確かに治ったので良しとしよう。

それにしても、姿勢の矯正や足腰の負担の軽減にはポールを使ったウォーキングが適しているという話は本当だった。欧州のように、高齢者だけでなく若者や中年にもノルディックウォーキングが普及すると素敵だと感じたりもするし、うつ病などの精神疾患の予防や回復にも効果があるように思える。

ノルディックウォーキングが高齢者の運動とリンクしてしまった日本の社会はアレだと感じたりもするし、その素晴らしさに早く気付いて楽しんでいる自分がラッキーだと感じたりもする。