2019/11/12

ロードバイクサークルの寿命

私は2017年の1月からロードバイクの社会人スポーツサークルを主宰しているのだけれど、ちょうど3年目でサークルの運営に疲れてしまっている。そろそろ活動休止の潮時なのだろう。


それ以前にも浦安市内で立ち上がったロードバイクサークルに所属していた。そのサークルは規約もリーダーもなくて、2年も経たずに潰れた。見かけたことはほとんどないが、当時のメンバーは今でもソロで走っているのだろうか。

サークルが発足した最初の1年は盛り上がった。グループライドにも行ったし、飲み会もあったし、レースにも出場した。

浦安にはさらにその前にもロードバイクサークルが発足したことがあった。そのサークルはレーシングチームで、とても速かった。

初心者だった頃の私は彼らの姿に憧れた。いつか入会させて頂こうと思っているうちに、そのサークルが活動を停止しているように見えた。

そのサークルのメンバーに尋ねてみると、多くのメンバーがロードバイクを降りてしまったとのことだった。当時はそのことが不思議だった。とても楽しそうに頑張っておられたのだが。

その頃、地域のロードバイク乗りが集まって新しいサークルをつくろうという話になり、私も参加することにした。

しかし、途中からグループライドに参加する人たちが減り、SNSで呼びかけても反応がなくなり、いつもの数名という状態になった。ロードバイクサークルでよくある話だと思う。一通りのことを経験して飽きてしまったのだろう。

そして、ロードバイクに乗ること以外での面倒事が増えた。純粋にロードバイクのライドを楽しんだり友達の輪を広げることがサークルの趣旨だったはずなのに、結局は人間関係のトラブルだった。

脚力や機材のマウンティング、サークル運営での負担の多寡。地域の繋がりなんて途中から全く分からなくなり、捨て台詞をはく人、無視していなくなる人。今から思い出しても憤りを感じる。

集まった人たちはとても個性的で楽しい人たちだった。しかし、サークルとして集まると上手く行かなかった。当時のサークルには職業として組織コンサルティングの会社を経営しているメンバーがいた。彼とはなぜかウマが合って私の意見を理解してくださった。そして彼は私に言った。「このサークルはカオスだ。長くは続かない」と。私も同感だった。

彼はコンサルが本職なので、職業人としてサークルの状態を眺めてすぐに分かったのだろう。

リーダーもルールもなく、来る者拒まず去る者追わずという状態で集団がまとまるはずがないということを。

高い金を払って製作したチームジャージは今ではタンスの肥やしになった。撮影した記念写真を再び見返すこともない。

しかし、同じ市内で同じ趣味を持つ人たちの集まりはとても大切だと私は思ったので、リーダーや規約を整えて最初からやり直すことにした。それが今、世話人を続けているロードバイクサークルだ。

自由を好むロードバイク乗りから見れば厳しい規約を用意し、先のサークルの経験を教訓として礼儀のない人や危険な走り方をする人を招かないようにした。

集まってくださったロードバイク乗りの皆さんはとても素晴らしい人たちだ。このような気難しい世話人のサークルに参加してくださることをいつも感謝している。

しかし、ネットでメンバーを募集すると、往々にして期待していないロードバイク乗りが入会を希望してくることが多い。SNSの友達申請のような感じだが、リアルな世界の友人関係はネットほど容易ではない。

コンプライアンスのある職場ではきちんと働いているのだろうけれど、ここでは書き留められないくらいのエピソードが何度もあった。

サークルを消費の対象のように考えていて、あくまで自分はユーザーの立場という感じ。そのような人が入ってきたら数人でもサークルが一気に傾く。

自転車屋やネット通販でロードバイクを購入すればロードバイク乗りになることができる。誰だって頑張れば30km/hくらいで走ることはできる。免許もルールもないような状態だ。どのような人がやってくるか想像も付かない。

真面目にサークルに参加していても、レースが好きな人がいて、トレーニングが好きな人がいて、ポタリングが好きな人もいる。ソロで走ることに飽きてサークルを探し、サークルさえも飽きてしまう人がいる。

サークルに参加する側は楽だ。嫌なら行かなければいいだけの話だから。しかし、サークルを運営する側は、ロードバイクに乗って走ること以外の部分で様々なストレスを受ける。グループライドに参加する人が減り、どうすればいいのか悩む。メンバーの何気ない一言で傷つくこともある。

ロードバイクが楽しくてサークルを立ち上げたのに、どうしてこんなに苦しいのだろう、自分自身の生活もあるのにと。

では、現在、私が世話人を務めているサークルはどうなのかというと、とても礼儀正しくて素晴らしい人たちばかりだ。それでも、ロードバイクという趣味を続けること自体が難しい。

ロードバイクを始めてみたものの、仕事の都合や家庭の都合でライドに出かけられない人が増え、グループライドをアナウンスしても同じ人が数人しか参加してくださらないことが多くなった。

世話人としては積極的に新規のメンバーを募り、サークルを盛り上げていこうという形が望ましいのだろうけれど、いつまでこのパターンを続けなくてはならないのだろうという徒労感が蓄積してくる。五十路が見えてきたオッサンが趣味の場で友達集めに苦労するなんて、何だか情けないものがあるなと。

そして、このような葛藤が珍しいことなのかというと、どうやらそうではないらしい。かつて浦安市内でも隣の市川市内でも社会人のロードバイクサークルが立ち上がっていたが、ネット上では現在の活動を確認できない。

東京都内でも埼玉県内でも千葉県内でも新しいロードバイクサークルが次々に立ち上がり、ひっそりと活動が休止し、更新されないサークルのサイトがネット上を漂い、そして消滅していく。

望まれるサークルの世話人の姿というのは、レースでも活躍するくらいの脚力があっていつもトレインの先頭を引っ張り、しかし性格は気さくで明るく、ネットでの広報も上手で、楽しいネットコンテンツを提供し、メンバーのために小まめに気を遣って新しいライドのルートを用意し、仕事や家庭が辛くても何ら泣き言をいわずに毎週のようにグループライドにやってくるような感じだろうか。超人だな。

プロショップのロードバイクチームの運営がどうして続くのか。それはショップの経営に直結するからだろう。自転車店の人たちの年収は500万円程度という話を聞いたことがあるが、実際にはもっと少ないことが推察される。さらにチェーン店の従業員の給料がどれくらいのなのかを知れば、多少は愛想が悪くても我慢しうることだろう。潰れた店も見かける。

高額なロードバイクを売っても利益はメーカーや代理店が多くを持って行ってしまうだろうし、パーツやウェアはAmazonで安く売っている。しかも趣味としてロードバイクを買った後で乗り続ける割合が少ない。多くは飽きて乗らなくなる。

一方、自転車の整備に関する国家資格はなくて、技士や整備士といった民間資格があるだけだったと理解している。しかも、プロショップには民間資格さえ義務づけられていないと思う。

つまり、自転車が趣味の人が脱サラしてプロショップを名乗ることさえ可能なわけで、同業者が増え続けてもおかしくない状況だ。

どこかの街では、親から引き継いだ不動産関連の収入があって、趣味のようにプロショップを経営している人がいるがそれはかなり珍しいケースであって、店舗の経営自体は赤字続きではないだろうか。

概してロードバイクのプロショップという職業は、ラーメン屋と同じか、それ以上に厳しい状況かもしれない。

店でパーツや車体を買ってくれたりオーバーホールを依頼してくれる常連客の存在は大切な収入源になる。客を繋ぎとめる目的もあって走行会やイベントを考えるのだろう。

もちろんサイクリングそのものが好きという人もいるはずだが。趣味と仕事の両立は大変だと思う。ショップチームに参加する側はユーザーなので運営に気を遣わなくて済むのかもしれない。何かあればショップが仕切ってくれるだろうし。

一方、社会人のロードバイクサークルの場合には世話人にも本業の仕事があり、家庭があり、子育てを続けている人が多い。あくまで趣味だ。

その状況で望ましい世話人としてサークルを運営するなんて、あまりに余裕がなければ難しいと思う。世話人としてサークルが楽しいという状態から苦しいという状態になった時、他のメンバーが支えないとサークルはあっさりと潰れるのだろう。

私はこの1年くらい、どうすればロードバイクサークルを盛り上げていけるのかと思案していた。意味が分かりかねる入会希望者とのやり取りを我慢し、ライドがマンネリ化しているという指摘を回避することを考えた。

しかし、何の連絡もなくグループライドに来なくなる人が増え、残った人たちに申し訳ないと感じながら走った。こんなに辛い思いをするくらいなら、サークルなんて潰せばいいと感じることはよくある。

結局のところ、人間関係があまり得意ではない私がサークルを立ち上げること自体に無理があったのかなと思うこともある。「なんだ、ダサいな」と感じる人が多いかもしれないが、実際にサークルを立ち上げてみれば分かる。2年目くらいから雰囲気が停滞して、とても疲れるから。

私が知る限り、浦安市内だけでも大小含めて4つのロードバイクサークルが発足後に活動を停止している。サークルを立ち上げることは容易だが、継続することは難しい。

私なりの考えとしては、今年の12月、つまり発足から3年目を節目としてサークルのサイトを閉鎖し、残ったメンバーと機会を見て一緒に走る程度にしようかと考えている。

頑張ってサークルのメンバーを募ったところで、ソロライドに飽きてサークルを探しているビギナーが寄ってくるだけのような気がしてならない。世話人にとってニワカな人たちの破壊力は非常に大きい。

小学生時代を振り返ってみれば案外分かりやすいことかもしれないが、一つのクラスで気が合う友達なんて一人か二人だった。浦安市内に100人のロードバイク乗りがいたとしても、走り方や気持ちが通じる人がどれくらいいるのかという話になる。

現時点で出会った気の合うロードバイク乗りの数が実際にはプラトーに達していて、これからどれだけ頑張っても自分が望むようなサイクリストに出会うことがないのかもしれない。

非常に暗鬱としたエントリーではあるけれど、日本全国のロードバイクサークルの世話人が感じていることかなと思って書きとめた。

気が合わない多数の人たちとサークルを組むくらいなら、私はたとえ数人であっても気の合う人と一緒に走り続けたい。