2022/03/20

細かすぎて伝わらないミニベロカスタム BRUNO SKIPPER

この1ヶ月くらいの期間の休日は、 カスタムを施した小径自転車(ミニベロ)のテスト走行と調整を繰り返していた。また、上の子供の私立中学の入試や入学準備で家庭が匆匆たる状態になり、「休日」は「休むことができる日」ではなかった。洗濯機を何度も回して溜まりに溜まった衣類やタオルなどを洗って干し、汚れて荒れた家の中を掃除し、妻が暴れても耐える日々が続いた。

4月が近づいて妻が落ち着いてきたのだが、この数ヶ月はとても不安定だった。辛辣な言葉の暴力をプラズマ波のように家族に放ち続け、私にはサイクリングに出かけている余裕もなかった。そのため、隙間時間を使ってミニベロのカスタムに没頭することでストレスを減らしてきた。この時間がなかったなら、私の精神は容易に破綻していたことだろう。


今回のミニベロのカスタムのベースになったのはBRUNOという自転車メーカーの「SKIPPER 2021」というエントリーモデル。完成車の定価は税込で59,950円。

車体価格は約6万円だったが、せっかくだからとヘッドパーツツールやデジタルトルクレンチ等の工具を新調したり、現物合わせの試行錯誤でサイクルパーツを購入したので、追加で30万円近い出費になった。今後は節約するが、反省はしない。メンタルを飛ばして薬漬けになるよりもずっと安くて健康になれる。

都内のサイクルショップでBRUNOのSKIPPER 2021モデルを購入し、浦安まで自走で帰ってきた。その後ですぐに完成車を分解したのでオリジナルの写真が残っていない。

ブルーノのコンセプトは「旅」なのだそうだ。旅といってもロングライド用という訳ではなくて、生きること自体を旅に例えているらしい。その旅の相棒としての自転車をイメージしていることがよく分かる。

ブルーノにはミニベロによくある折り畳み機構はない。昔ながらのクロモリ製のホリゾンタルフレーム。制動はカンチブレーキ。

太めのタイヤを履かせて気の向くままに走るようなタイプのミニベロだな。素晴らしい。買って良かった。人生が豊かになった。

カスタムを施す前のスペックは以下の通り。

Frame:AY73 Original Cr-mo butted tubing
Fork:Original Hi-tensile Tubing
Brake:TEKTRO Canti Brake
Tire:Kenda K-west 20 x 1.50
Saddle:Bruno Original Saddle
Rim:WEINMANN SP17 6061 Alloy CNC Side Wall
Shifter:Shimano Revo Shifter
F.derail:-
R.derail:Shimano Tourney
Gear:7speed
Size(c-t):510mm
Brunoオリジナル キックスタンド付

ブルーノの自転車は上位モデルが日本、エントリーモデルは中国で生産しているらしい。このスキッパーもメイドインチャイナ。

スイスと日本のサイクルメーカーの合作という話だが、スイスでブルーノのミニベロが流行っているという噂を聞いたことがない。

コンセプトやブランドイメージをスイスから持ち込んで、設計や制作などは日本のメーカーが担当しているようだ。ヘッドセットやボトムブラケットは明らかにJIS規格に準拠している。

それにしても、フレームとフロントフォーク以外のコンポーネントやホイール、タイヤ、ヘッドセット、ボトムブラケットに至るまで全く期待しえないスペックだ。カスタムベースとしては逆に躊躇することなくそれらを取り外すことができた。

しかしながら、デフォルトの完成車に乗ってみた際の感想としては、よくここまでの内容で税込6万円に収めたなと驚いた。ネット上の他のユーザーによる評判も悪くない。私なりのインプレやレビューとしても、想像以上によく走るミニベロだと感じた。

買物やポタリングといった街乗りであれば、標準仕様のレボシフターの7速やカンチブレーキで充分かもしれない。また、スキッパーの車体は剛性があってシティサイクルのように足腰がしっかりしている。けれど、ミニベロ特有の小回りの良さもあり、ペダルを踏んだ時の加速も想像以上だ。

数ヶ月、半年、一年、数年とブルーノに乗っていく中で少しずつパーツやアクセサリーが変更され、その自転車にユーザーの個性が映し出され、世界にたった1台の存在になる。ブルーノの新車は素材に過ぎず、ユーザーとの関係の中で完成形に近づいていくということだな。

私の場合には、単独で往復100km程度のツーリングに出かけたり、砂利が敷かれたグラベルや水たまりの多い農道を走るという用途でスキッパーを使いたい。昭和の時代に日本で使用されていたパスハンターのミニベロ版のような。

当然だが、そのような使い方についてメーカーは想定していないはずだ。けれど、カスタムが前提とはいえ、乗った瞬間に「こりゃだめだ」とカスタムを始めるという気持ちではなく、「よし、このフレームの剛性なら、間違いなく使える」という前向きな気持ちでカスタムに入ることができた。

実は...今回のミニベロの購入で最初に検討したのはブリヂストンのクエロ20という自転車だった。なぜブリヂストンなのかというと、やはりブリヂストンだからだ。このメーカーはフレームの設計やコンポ以外の部品の耐久性についてこだわりが強い。室内での保管ではなくて屋外での駐輪に耐えられるように自転車を作っているはずなので、標準仕様のステムやシートポスト、ホイールなどを流用することができると思った。

ところが、コロナ禍による自転車の品薄の影響でクエロ20が手に入らず、ブルーノを購入することにした。

あまつさえ、ブルーノの上位機種を購入しようとしたのだが、それらも欠品していた。1台だけ売れ残っていたのがSKIPPER 2021だった。ここまで来たら引きたくないと思って勢いでその売れ残りを購入することにした。私自身も婚活で売れ残った晩婚親父だ。これも何かの縁だろう。

だが、SKIPPERがここまで偏った充実感があるモデルだとは思っていなかった。

パーツからホイール、タイヤ、ヘッドセットに至るまで多くを不燃ゴミに出してしまったが、フレームとフロントフォークに全振りしたスペックには潔さを感じる。

繰り返しになるが、正直なところSKIPPER 2021に付属してきたコンポーネントやホイールなどは全て廉価品であり、スポーツ用途としての使用には耐えられないと思った。リムについては聞いたこともない銘柄だ。ボスフリーハブのリアホイールは転用が難しい。しかし、フレームとフロントフォークは想像以上の出来具合だ。

この自転車を購入したショップにて説明を受けた際、「このブルーノのパーツの保証は1年ですが、フレームとフロントフォークのメーカー保証は10年間なんですよ。室外保管は別ですけどね」と若い店員が苦笑いしていた。

例えば乗り始めてから8年間で壊れて、サイクルショップに持ち込んで真面目にメーカー保証を適用しようとするサイクリストはいないと思う。6万円の完成車であれば、5年くらい使えば十分だろうと。

しかし、ブルーノとしては10年間くらい乗り続けられるようにというコンセプトでフレームやフロントフォークを作っているというわけだ。カーボン製の自転車のように使い捨てするのではなく、長きにわたって付き合えるスチール製の自転車の良さなのだろう。

確かにこのフレームであれば10年くらい乗り続けられると思う。ネット上には、それ以上の期間にわたって乗り続けているブルーノ乗りが散見される。私が飽きずにこのスキッパーに乗り続けてフレームが使えなくなる時、子供たちが成人して孫がいるかもしれない。

まさに人生という旅の道具として、どうぞカスタムしてくださいと言わんばかりの設計思想だ。

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スキッパーのフレームはクロモリ製。クロモリフレームのチューブと言えば、レイノルズやカイセイ、タンゲ、コロンバス、インフィニティといった銘柄が有名だ。ブルーノの上位モデルにはコロンバスのチューブが使用されている。

しかし、スキッパーにはブルーノオリジナルのAY73という謎のチューブが使用されている。初めて聞いた銘柄だ。

定番のクロモリチューブの場合には指の関節あるいは硬いもので叩くと「カンッ、カンッ」という軽い音が響く。鍛造を繰り返して剛性を高めつつ、薄く軽く仕上げているためだ。

この材質の特性がクロモリフレームのしなりを生み出したりもするし、衝撃でチューブが凹むこともよくある。

他方、AY73のチューブは硬いもので叩くと「ゴツッ、ゴツッ」という鈍い音が出るだけで響かない。工事現場で使うようなゴツい鋼管を使っているようにも思える。重くても丈夫な自転車を好む私としては嬉しい仕様だ。クロモリフレーム特有のしなりは全く感じられないけれど、タイヤが太いので乗り味はマイルドになる。

とりあえず、完成車からフレームとフロントフォークだけを残し、取り付けられそうなパーツやアクセサリーを全乗せして試走に出かけることにした。

ゴチャゴチャして美しいとは思えないが、一通りそれらを取り付けた状態でどのような使い勝手なのかを試してみることにした。カスタムを施した自転車を試すには過酷な状況でのテストが有用だ。

信号によるストップアンドゴーがやたら多く、路面は段差だらけ、歩道であっても人やママチャリが飛び出てきて、車道を走れば乗用車やトラックが幅寄せしてきて、路面が歪んで走りにくく、パンクを誘発するような金属ゴミさえ落ちていて、とにかくサイクリストとしては最悪のコンディションの場所を走ってみることにした。

奇遇ではあるが、私が住んでいる新浦安はその条件にマッチしているので何も悩む必要がない。

日の出地区から舞浜地区や千鳥地区まで走り、富岡地区を経由して日の出地区まで戻ってきた。サイクリングコースとしては最悪だった。

しかし、劣悪な環境だからこそカスタムの仕上がりを知ることができた。

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まず、ハンドル回り。

ブレーキおよびシフトともにNISSENのケーブル。シマノよりも柔らかいので取り回しが楽だ。また、ケーブルの引きの軽さはフラットバーの自転車であってもよく分かる。

ヘッドセットは、TANGE(タンゲ)の「FL250C JIS 27.0mm」というシールドベアリングのモデル。

700Cのロードバイクと比べて、ミニベロでは走行時に細かくハンドルが揺れるために自力での操舵が必要になる。ヘッドセットの動きが鈍かったり、引っかかりがあるとストレスになる。

購入した後に速攻で引っこ抜いたオリジナルのヘッドセットはメーカー不明のものだった。おそらくチャイナ製だろう。ベアリングの球が剥き出しで数珠のように連なっていて、ハンドルを切るとゴリゴリするタイプ。グリスが劣化すると真っ赤に錆びるような代物だったので、真っ先に叩き抜いてシールドベアリング仕様のヘッドセットに換装することにした。

とはいえ、タンゲのFL250Cはクリキンのヘッドセットのように高額ではない。しかも、シールドベアリング式のヘッドセットなので、ベアリングが消耗した場合にはリペアパーツとして入手が可能だ。

また、スレッド式のヘッドセットを交換する場合にはスタックハイトの選択が重要になる。

今回は少し短めのスタックハイトのヘッドセットにDIA COMPEの1インチスペーサー(φ25.4の5mm厚) を挟むことで問題なく取り付けることができた。

ハンドルバーはNITTOのB206AA。オールランダーバー (言語学的にはオールランダーではなくてオールラウンダーではないかという気がしなくもない)という種類で、一見するとライザーバーなのだが、垂直方向のライズはあまり深くない。

その代わり、手で握る部分の角度が20度近く手前に向かって曲がっている。この三次元のグニャグニャ感がたまらない。

このハンドルバーを使おうと思ったきっかけは、シクロクロスフレームでオールロードバイクを組み上げた際に使用したサーリーのモロコバーのグリップ部分が同じようなデザインだったから。

このタイプのハンドルバーは、ステムに取り付ける角度を調整するだけで自分の手首に合ったポジションを探すことができる。私は仕事柄、手首を酷使しているので慢性の腱鞘炎に苦しんでいる。少しでも手首が楽なハンドルバーを切望していたので良き選択だった。

スレッドステムはNITTOのNTC-225(φ22.2mm)。ブルーノのフレームのジオメトリーにおいてロードバイク用の短めのポスト長のスレッドステムを使用すると、前傾が深くて辛くなると思う。NTC-225はポストが長い割にアングル角が深いという不思議なモデルであり、質感や剛性は素晴らしい。

ステム長については100mm、110mm、120mmの3種類を手に入れて試してみた。通販ではNTC-225が全て欠品している。しかし、カスタムメインのショップに問い合わせると在庫があったりする。その場合の購入は定価ベースになるが致し方ない。

サイズの選択肢が少ないミニベロの場合、自分に適したジオメトリーのモデルが手に入ることの方が珍しい。加えて、折り畳みミニベロの場合にはステムがないモデルもよくある。

ブルーノのような折り畳まないミニベロでは、ステムの長さとサドルのオフセットでポジションを合わせることになる。サドルのオフセットについては後述する。

加えて、自分の体型や柔軟性にフィットするポジションが分かったとしても、そのポジションで走ることが快適になるかどうかは分からない。ハンドリングがクイックなミニベロでは、各メーカーが設定するホイールベースの長さが走り心地に大きく影響する。また、私個人の印象としては、ミニベロのフロントフォークのトレール量についてはあまり大きな差がないようだ。

ブリヂストンの20インチミニベロのクエロ20のホイールベースは1055mm。一方、同サイズのブルーノスキッパーのホイールベースは985mm。

この長さの違いを700Cのスポーツ自転車と照らし合わせてみると、クロスバイクやシクロクロスバイクのホイールベースが1030mm。ロードバイクが1000mm前後。

つまり、ブリヂストンのクエロ20のホイールベースはクロスバイクよりも長いという特徴があり、ブルーノのスキッパーのホイールベースはロードバイクと同じくらい短いという解釈になる。おそらく、クエロ20とスキッパーを乗り比べるとよく分かるはずだ。

一般的にホイールベースが長いと直進性が安定する。しかし、ハンドリングがダルくなり、小回りが利かなくなる。ホイールベースが短い場合にはその逆の傾向がある。

そして、ステムの長さやサドルのオフセットを調整することでポジションが出たとしても、実際に乗ってみるとやたらとハンドリングがダルくなったり、ピーキーになったりする。

結局のところ、ミニベロのステムの長さについては現物合わせで調整するしかないようだ。毎週末のテストライドにおいて3週間をかけてステム長を決めた。

120mmのステムでは長すぎてハンドリングがダルく感じ、100mmではハンドリングがクイックになり、間をとって110mmのステムを使用することにした。

そういえば、ステムというパーツ自体が存在していないブロンプトンの場合には、ホイールベースが1045mmもあるそうだ。しかも、ブロンプトンのフレームのサイズは1種類であり、フィッティングどころの話ではないように思える。

もとい、ハンドルに取り付けるグリップはノグチのNGS-005という名前のハーフグリップ。NITTOのB206AAのハンドルバーは幅が狭いので、フルサイズのグリップが入らなかった。また、グリップといえばエルゴンだが、その半値にも充たないノグチグリップを試しに使ったところ、あまりのコスパの良さと手のひらの快適性に驚いた。

ノグチグリップを使ってしまうと、有り難がってエルゴンのグリップを使うことが馬鹿らしくなる。このままノグチ万歳で使い続けることだろう。

ノグチグリップの近くに取り付けているのは「SRECNO」というメーカーのサムグリップ。たった700円のアクセサリーだが、これがあるか否かで快適性が全く違う。

ミニベロ乗りの中にはハンドルバーにクロスバイク用のバーエンドを組み込む人がいたりもするが、ただでさえクイックなハンドリングのミニベロでブレーキから手を離すというのは危険だと思う。

また、サムグリップとしては「トグス」が有名だけれど、実際に使ってみると厚みがあってあまり心地良くなかった。SRECNOのサムグリップは適度に薄くて親指の違和感が少ない。最近ではミスターコントロールがよく似たパーツを販売している。おそらくメーカーは同じなのだろう。

ブレーキレバーはシマノの「BL-R780L」というモデル。ブルーノはカンチブレーキが標準仕様になっていて、実際に乗ってみるとあまりのブレーキングの弱さに絶句したので、躊躇うことなくシマノのコンパクトVブレーキに換装した。

ブルーノのフレームにVブレーキを取り付けるとブレーキのシューとホイールのリムのクリアランスが狭くなりすぎ、タイヤ交換ができないと紹介している某サイクルショップのブログがあったりするが、その情報は正しくない。

このようなサイクルショップは何を考えているのだろう。説明能力が低いのか、何らかのこだわりが強すぎるのか。

サイクルショップが間違った情報を発信するというのはおかしい。クリアランスが狭くなりすぎる原因はフレームやブレーキ本体ではなくて、ブレーキレバーにある。

キャリパーブレーキ用のフラットバーレバーやSTIでVブレーキを引こうとするからクリアランスがなくなるだけの話。ブレーキの引きしろの点から鑑みて、キャリパーブレーキ用のレバーを使えばVブレーキでクリアランスが狭くなって当然だ。

一般的なVブレーキと比較した場合、アームの長さが短いシマノのコンパクトVブレーキやテクトロのショートVブレーキをキャリパー用のレバーで引くことは不可能ではない。

その場合には、アウターケーブルにリリース付きのインラインアジャスターを組み込んでVブレーキを開放することができるように工夫したりもする。

だが、カンチブレーキ仕様のブルーノにおいてVブレーキを使用する際に、Vブレーキに対応したレバーを使用するのであれば問題ない。この組み合わせならばシューとリムとの間でクリアランスに問題は生じない。Vブレーキを開放することでホイール交換も難なく済ませることができる。

某サイクルショップのブログ記事を信用してリリース付きのインラインアジャスターを用意したのだが、全く必要なかった。

気を取り直して、シフターはシマノSORAグレードの「SL-R3000」という9速モデル。11速用のラピッドファイヤーを使ったことがあるのだが、あの固いシフティングが苦手だった。それよりもシフティングが滑らかで好感が持てる。

ハンドルにライトやスマホを取り付ける場合にはマウントが必要になる。とはいえ、今回使用したNITTOのハンドルバーは直径が22.2mmということで適したマウントが見当たらなかった。

22.2mmのバーを31.8mmの径に変換するシムは市場で出回っていないので困ったのだが、「VOLO EXTENDER BAR」という名前のチャイナ製のマウントにアルミ製のシムが付属していることを知った。

そこで、このマウントを購入してシムとバーだけを取り出し、ミスターコントロールのコンピューター・ライトマウントADP-3RCのクランプと組み合わせて使うことにした。

VOLOのマウントのバーやシムはよく仕上がっている。しかし、クランプはボルト1点固定であり、ヒンジ部分が壊れやすそうだった。ミスコンのマウントのクランプはボルトによる2点固定式であり、実際に使い続けて壊れたことがないので信頼感がある。ということでクランプを交換した。

次に、フロントフォーク周り。

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フロントフォークはクロモリ製ではなくて、ハイテンという高張力鋼が使われている。コスパを考えたダウングレードだと思う。クロモリフォークよりも重そうだが剛性が高くて安心感がある。

制動力が強いシマノのコンパクトVブレーキを引いてもフロントフォークは全く歪まない。これはいい。

先ほどの某サイクルショップの不正確な説明について指摘したが、ブレーキはシマノの「BR-R353」というコンパクトVブレーキ。ブルーノの完成車に付属しているカンチブレーキと比べて制動力に雲泥の差がある。急ブレーキをかけてもすぐに止まる。素晴らしい。

BR-R353にはフロント用とリア用の2種類がある。リアは在庫切れが多い。しかし、両者の違いはブレーキシューの向きだけであって、それらを入れ替えてフロント用をリアに使っても問題ない。

ただし、Vブレーキはマウンテンバイクやクロスバイクで使用されるパーツであり、これをミニベロで使うと長めのシューによるリム当たりの調整が非常に難しい。いわゆるカックンブレーキになって滑らかな制動力が働かなくなる。

ということで、ブレーキシューをロード用の製品に交換することにした。

Vブレーキにおいてロード用のシューを使うためにはホルダー、いわゆる「舟」を換える必要がある。しかし、キャリパーブレーキとVブレーキの舟はボルトの形状が異なる。そこで、TEKTRO(テクトロ)のBR-TK-155という名前のブレーキシューセットのホルダーを使うことにした。

このブレーキシューセットはカンチブレーキ用の製品であり、舟のボルトはVブレーキに対応し、シューはリムブレーキのホイールに対応している。

ただし、この製品に付属しているブレーキシューは固くてリムを削りそうなので、BBBのロードバイク用ブレーキシューとして販売されている「ウルトラストップ ハイパフォーマンス BBS-28HP」を組み合わせて使うことにした。このブレーキシューは柔らかくて雨でもよく効くことで定評がある。シューの減りは早いけれど、ミニベロ用のホイールが品薄なので可能な限りリムを大切にしたい。

また、Vブレーキはストッピングパワーが強すぎるので、シマノのSM-PM70という銘柄のパワーモジュレーターをフロントとリアに組み込んだ。これによってタイヤのロックを抑制することができる。

フロントホイールは、アレックスDA-16のリム(20-406)、2.0㎜(#14)のステンレススポーク、ティアグラハブ(32H)を用いた手組ホイール。定番の組み合わせだな。

700Cと比較した場合、小径車のホイール、特にスポークには大きな負荷がかかる。しかし、スポーツタイプのミニベロの完成車には28本程度のスポークで組んだホイールが付属することが多い。スポークが20本しかないホイールも見かける。小径ホイールの場合には完組ではなく手組が多いので、大丈夫なのかと心配になる。

買物や通勤程度の街乗りならば問題ないかもしれないが、そのようなホイールを使ってツーリングに出かけ、走行中にスポークが折れたり、リムが変形してタイヤのビードが歪んだり、タイヤがバーストしてチューブが飛び出たら大変なことになる。

そのため、32本の太めのスポークを組み込んでタフに仕上げた。現在は欠品しているが、ベロシティのリムと36Hのハブが手に入るようになれば、さらにタフな手組ホイールを作ってみたい。とはいえ、今回のカスタムで組んだ32Hのホイールは想像以上に素晴らしい。

このホイールに、コンチネンタルの「Ride Tour (ライドツアー) 20x1.75インチ (47-406)」を履かせてみた。このタイヤは幅が40mm近くあり、谷津道の荒れた路面でも突っ込んでいくことができるはずだ。

コンチのライドツアーを一言で表現すると、「雨でも滑りにくいシュワルベのマラソン」という感じだな。

雨の日にマラソンタイヤを使ったことがあるサイクリストであればそれ以上の説明は必要ないことだろう。マラソンタイヤはドライで高いグリップがあるけれど、ウェットではグレーチングどころか白線の上でさえスリップすることがある。それさえなければ最高なのだが、それさえないタイヤがあった。

ライドツアーにはパンクを防ぐための分厚いシールドが走行面に埋め込まれており、グラベルにも対応するブロックパターン。ただし、雨天走行時を想定して水抜き用のトレッドが施されている。

それなりに空気圧を高めることができる。走り心地はいかにもコンチタイヤという感じ。硬いけれどグリップがあり、よく進む。

おそらくこの先もずっとライドツアーを使い続けると思う。それくらいに素晴らしいタイヤだ。

加えて、谷津道を走っていると畦道に入り、泥や砂を巻き上げることが多い。ということで泥除けを装着した。

この泥除けは、サイクルベースあさひの「ワンタッチフェンダー20」というモデル。様々なフェンダーを色々と試行錯誤したが、あさひ製がとても便利で使い勝手が良い。

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次に、クランク周り。オリジナルのSKIPPERにはメーカー不明のスクエアテーパー式ボトムブラケットとチェーンリングをピン止めした鉄クランクが付属していた。ボトムブラケットは接着剤のような樹脂によって固着しかけており、剥離が大変だった。

それらを取り外し、シマノのホローテックII式のボトムブラケットSM-BBR60に換装した。

シェル幅はJIS(BSA)の68mm。ブルーノはどう考えても日本製の設計だな。スイスの香りがしない。

クランクはシマノのALFINEシリーズのFC-S501の45T。このモデルはシングルガードとダブルガードの2種類があるが、ミニベロの場合にはシングルガードが定番になっている。

ダブルガードのクランクはトリプルクランクの設計に酷似しており、実際に使うとQファクターの左右差が大きくなりすぎる。

FC-S501も品薄になってシルバーしかなかったので、バッシュガードのみをブラックに交換した。

ペダルは「BM-7 NEXT」という三ヶ島の70周年期間限定生産モデル。在庫限りの製品で再販の予定がないらしい。

一般的なBM-7はカップ&コーンベアリング方式だが、BM-7 NEXTはSYLVANシリーズと同様のシャフトにトリプルシールドベアリングが採用されている。

なお、フロントシングルのクランクの場合にはウルフトゥースのナローワイドのチェーンリングが定番だが、ウルフトゥースのチェーンリングは9速のチェーンでの使用は適さない。リアの変速だけでチェーンが外れて落ちたりもする。なぜそれを知っているのかというと、実際にやってみたからだ。GRXのシングルクランクにチェーンを巻き込んで外れなくなり、しばらく途方に暮れた。

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デザインや機能性としてウルフトゥースチェーンリングが素晴らしいが、チェーンは10速まで。ウルフトゥースの指示書きには、「このナローワイドのチェーンリングは9速にも対応しているが、その場合のドライブトレインには10速用のチェーンを使用せよ」と記載されている。いやそれは9速に対応していないだろと私は思う。シマノの9速コンポで10速用のチェーンを使用することが可能なのかどうか分からない。おそらく、この指示書きはスラムのコンポについて言及しているのではないか。

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SKIPPERにはボトルケージを固定する部位がひとつしかない。これでは不便なのでシートチューブに増設することにした。

ボトルケージの取り付けにおいては、ミノウラ (MINOURA)の「LW アルミクランプ」のオーバーサイズを使用してみた。

カーボンフレームにボトルケージを増設する場合には、エリートのアタッチメントが有名だ。だが、エリートのアタッチメントは樹脂製のパーツなので固定力に不安がある。

ミノウラのLWクランプはアルミ製で剛性が高い。その分、フレームが丈夫でないと不安になる。

ブルーノのAY73というクロモリフレームはアルミ製のクランプを固定してもビクともしない。ロードバイクではありえない場所(シートチューブとシートステーの間)にボトルケージを増設することができた。

これらのケージにBBBのツールボトルを取り付けた。どうして2本もツールボトルが必要なのかというと、タイヤが太ければチューブも太いからだ。2本の予備チューブやCO2ボンベを携行するとツールボトルの容量が足りなくなった。

私の経験では、BBBのツールボトルは気密性が高く、ほぼ防水仕様と考えて矛盾しない。念のためフタの裏側に薄いゴムシートを挟んでいるが、洗車の際にはそのまま水をかけてボトルの外側を洗っている。もちろんだが、サイクリングの最中に雨が降ったくらいでは何ら問題ない。

サドルにもボトルケージホルダーを取り付けたので、本気になれば5つの飲料ボトルを取り付けることができる。砂漠を走ることはないので、さすがにその予定はない。

次にサドル周り。

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SKIPPER 2021のスペック表には記載されていなかったので、シートポストの径はブルーノでは定番のφ26.8mmだと思っていた。しかも、スキッパーの古いモデルではφ26.8mmのシートポストを使っているブロガーが散見された。

ということで、完成車が到着する前にはすでにφ26.8mmを購入して準備していた。そして、シートポストを交換する段階でユルユルだということに気付いた。

ノギスでシートチューブの内径を測定して愕然とした。このチューブはφ26.8mではなく、φ27.2mmのシートポストが適合する。

その差はたったの0.4mm。しかし、0.4mmも違うと両者はピッタリと組み合わない。このミスマッチはまるで夫婦関係のようだ。竿と穴という露骨な表現ではなくて、新婚時代と倦怠期の気持ちのすれ違いは1mmにも充たない隙間によって生じるように思える。

φ26.8mmのシートポストをメルカリに出品したところ、欠品続きのためか数分で購入者が見つかった。たぶん転売ヤーだろう。中古なので定価の8割を目安に出品したのだが、1.5倍くらいの高値をふっかけておくべきだった。

そして、コロナの影響で多くの欠品が続くNITTO製品において、とあるルートからS84というφ27.2mmのシートポストを手に入れた。このシートポストはポジション出しが難しいスピンバイクにおいても使っているので信頼感がある。

S84は、良い意味でクレイジーなシートポストだ。おそらく日本人だけでなく外国人もクレイジーだと思っていることだろう。なぜなら、このシートポストは37mmもセットバックしている。

最近のカーボン製のロードバイクの場合、サイズが合ったフレームを購入すると、シートポストのオフセットはゼロもしくはせいぜい1~2cmだろう。しかし、昔のロードバイクはさらにセットバックさせた状態での後ろ乗りが主流だった。

都合が良いことに、ミニベロやスピンバイクの場合には小さめのフレームのバイクに乗らざるをえない状況がある。そのような時のためではないとは思うが、S84は普通に考えるとありえないくらいに後ろにサドルを取り付けることができる。

しかし、37mmもセットバックさせるとヤグラやポストに負荷がかかることは容易に推測しうるわけで、このシートポストはヤグラもポストもクロモリの鋼鉄製だ。定価は14000円。6万円の完成車に1.4万円のシートポストを付けることは何だろうかと思いはする。しかし、それが自転車という趣味だ。

シートポストクランプはTHOMSONの31.8mm。カスタムの定番なのだが、最近のモデルは固定用のボルトの径が4mmではなく3mmに変更されたらしい。今ひとつ気に入らないので今後の検討課題にしたい。

サドルは、BROOKSのカンビウムオールウェザーの穴あき、サイズはC17。このサドルを使うと他のサドルを使う気持ちが失せる。先々代、先代のロードバイクにおいても使用してきた。とても丈夫なサドルなので、私よりも長生きすると思う。

BROOKSサドルはC15というサイズがあり、幅が狭い。C19というコンフォートサイズもあるが、余程に尻が大きくないと座骨の幅がフィットしないように思える。ということで、C17を使っている。また、このサドルはレールがクロモリ製ということもあって、とても重い。

そして、このサドルのレールにミノウラのボトルケージホルダーを取り付けて、アブスの多関節ロックとどこかで手に入れたペットボトルケースを取り付けてみた。ペットボトルケースには缶コーヒーが刺さったままだな。

このボトルケージホルダーはサドルの下部に大きな空間ができるので、ここに輪行袋を取り付けている。ロードバイクやシクロクロスバイクに乗っていた時には輪行袋の下にスペアタイヤを取り付けることができたのだが、さすがに(折り畳めない)幅40mmの20インチタイヤは入らなかった。折り畳みができるタイヤであれば余裕で入る。

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リア駆動系。

シマノの一般的な9速ロードコンポーネントR3000系のSORA。これらはエントリーグレードのロードバイクやクロスバイクに付属することが多い。

11速のR8000系アルテのコンポを持っていたにも関わらずR3000系で組んだ理由は、軽量化を考慮していないからこその耐久性、ならびにオーバーホール時のコストや在庫。

このミニベロは趣味だけでなく将来的には通勤で使う予定なので、とにかくタフに仕上げたい。

南北アメリカ大陸を重量級のロングホールトラッカーに乗って縦断した猛者が使っていたコンポがシマノのR3000系だったことを思い出した。アラスカからアルゼンチンまで一度もドライブトレインが壊れずに走りきったそうなので、おそらくこれが最適解だろう。

加えて、コロナ禍の影響で11速のコンポは品薄になり、長期欠品が相次いでいる。シフターやスプロケットまでが在庫切れになっている。必要なパーツが手に入らずに苛立つことに疲れた。9速のコンポは11速よりも加工が容易なのか、市場の流通が早くて入手しやすい。

ミニベロの場合にはペダリングを止めればすぐに減速するので、細かなシフティングよりもクランクワークでギアを調整すればいいと思った。

リアディレイラーはRD-R3000、スプロケットはCS-HG400(11-32T)、チェーンはCN-HG93。アルテのコンポに比べると驚くほどに安い。在庫があるうちに予備も買っておいた。

フロントが45Tなので、ミニベロの場合にはリアが11Tであっても30km/h以上を出そうとするとケイデンスが100以上必要になる。

リアを11-32Tにした理由は、過去にブリヂストンのクエロ20でヤビツ峠を登った人がいて、その時のギアがフロント46T、リア11-30Tだったという情報を参考にしてみた。正直なところ、32Tではなくて28Tで十分だったかなという気がするが、歩くスピードであれば登れない坂がないくらいにトルクがある。ミニベロなのだから歩けばいいじゃないかという気持ちもある。

リアディレイラーの外側には、廉価なディレイラーガードを取り付けた。このパーツの目的は、1~数万円で売られている廉価なミニベロを装うため。ブロンプトンやタイレルといった数十万円級のミニベロと比較した場合、ブルーノが高価なスポーツ自転車とは言えない。少し値が張る小径ママチャリといった印象だろう。

それでも、ひとりでサイクリングに出かけて道端でパン屋や蕎麦屋を見かけて立ち寄る際には盗難が気になる。将来的に通勤で使うことを想定するとさらに気になる。

外観をスポーツ自転車のように見せかけて中身はシティサイクルという廉価な自転車は「ルック車」と呼ばれている。本物のスポーツ自転車の場合には分解されてパーツがネット上で転売されるのだろう。しかし、ルック車を盗んだところで大した儲けにはならないだろうし、捕まるリスクの方が高い。

つまり、スポーツ自転車を装っているシティサイクルがルック車であるならば、ルック車を装っているスポーツ自転車はルックルック車という解釈になる。それでは、何をもってルック車と判断されるのかというと、やはりルック車の象徴とも言えるディレイラーガードだろう。これを取り付けておけば、一目でルック車だと認識される。

自然界の動物や昆虫、魚などにおいては同じような擬態が珍しくない。それぞれのコンポーネントのメーカーやモデルのロゴも削り取っておいた。転売したところで二束三文にしかならないことだろう。

加えて、ルック車のディレイラーガードはその実用的な側面として最終形態まで進化しているような気がしてならない。様々なメーカーがスポーツ自転車用のディレイラーガードを開発および販売しているが、それらの多くは接触時にハブ軸やフレームにダメージを生じるようなタイプが多い。

それとは反対に、あえてディレイラーガードを取り付けず、転倒時にディレイラーが地面等に接触してもディレイラーハンガーが折れたり曲がることで衝撃を弱めるという考えもスポーツ自転車では一般的だ。しかし、往々にしてディレイラーハンガーだけでは済まされないケースが多かったりもする。

「スポーツ自転車にディレイラーガードなんて要らない」というサイクリストが実際に落車してリアディレイラーがもげ、ハンガーが歪み、フレームまで損傷して無様な姿を晒したとしても、ディレイラーガードについて言及しないことがほとんどだ。

そのようなエピソードを見かける度に「なるほどこれが武士道か」と、切腹を厭わない武士を眺めているような気持ちになる。しかし、私としては自転車で最も脆弱な部品を保護しないことを看過しえない。股間のカップを付けずにデッドボールを受けるようなものだ。

では、ルック車に取り付けられている廉価なディレイラーガードはどうなのかというと、ディレイラー部分に衝撃が加わっても、フレームやハブ軸、ディレイラーハンガーにダメージが生じる前にディレイラーガードそのものが曲がる。

その合理性や有用性は、駅やスーパーの近くの駐輪場に行って、たくさん並んでいるルック車を眺めてみるとよく分かる。ディレイラーが取り付けられた自転車を混み合った乱雑な空間に放置するだけでも、サイクリストとしては鳥肌が立つくらいに心配だ。しかし、間違いなく様々な物と接触しているはずであろうルック車たちは平然としている。そのルック車に取り付けられているディレイラーガードは、スポーツ自転車とは比較にならないくらいに多くの実例で検証され試行錯誤されてきた。曲がったディレイラーガードを自転車店に持ち込めば、間違いなく人力で曲げて元に戻してくれることだろう。何というタフさとコスパだろうか。

R8000系の場合には、同じような形状でチタン製のディレイラーガードがサードパーティから販売されていたのだが、長期欠品が続いている。おそらく再販されることもない。

しかしながら、ルック車を装う上で問題もある。クイックリリース式のリアエンドにルック車のディレイラーガードを取り付けると、クイックリリースのシャフトの長さが足りなくなる。

そこで、BBBのホイールフィックス(BQR-03)というスキュワーでリアホイールを固定することにした。このスキュワーはワッシャーの枚数を調整することで135mmのエンドにも対応することができる。

また、ディレイラーガードの裏側には自己融着テープ(ブチルテープ)を貼り付けておいた。このテープは自転車のカスタムでとても重宝する滑り止めで、この場合には走行時やホイール交換の際にディレイラーガードの位置がズレないので便利だ。

ルック車仕様のディレイラーガードについて熱く語りすぎた。

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リアブレーキ周り。

SKIPPERに標準仕様のカンチブレーキは悪夢を見ているかのように制動力がないので、フロントと同じくシマノのコンパクトVブレーキBR-R353に換装した。ブレーキホルダーやブレーキシューもフロントと同じ製品を用いた。

ミニベロに限った話ではないが、Vブレーキはそもそもマウンテンバイク用に開発されたものだ。カンチブレーキ仕様のシクロクロスバイクやミニベロにVブレーキを取り付けた場合、ブレーキにかかるトルクが大きすぎてシートステーが歪むことが多い。

ブレーキのたびにフレームを歪ませるということは車体にとってよろしくないことであり、この歪みが音鳴りや制動力の低下に繋がることもある。

このようなVブレーキによるフレームの歪みを抑制するパーツは「ブレーキブースター」と呼ばれており、15年くらい前はシマノがカーボン製のブレーキブースターを販売していた。また、10年くらい前までは他のいくつかのメーカーもアルミ製のブースターを販売していた。

しかし、最近ではディスクブレーキの隆盛によってVブレーキが衰退し、まともなブースターが入手できない時代になった。チャイナ製のブースターもどきには絶対に手を出してはいけない。実際に手を出してみたのだが手で折れ曲がるくらいの強度だった。

そういえば、廉価なクロスバイクの場合にはVブレーキが標準仕様になっていることが多かったりもするが、ブースターではなくアルミ製のフレームの剛性を上げることで歪みを抑えているらしい。クロモリフレームのシートステーはパイプが細いのでそこまでの剛性がない。

さらに、ブルーノのミニベロの場合にはシートステーがとても長いので、Vブレーキを使えばフレームが歪むことが容易に想像しうる。

しかし、実際にブースターを装着せずに試してみた感想としては、ブレーキマウント付近のブリッジに加えてカンチブレーキ台座としてのブリッジが溶接されているためか、思ったよりもヤワではない感じだ。ブルーノオリジナルの謎のクロモリチューブがゴツいという理由もあるのだろう。

それでも、気分的にはリムブレーキで最強の制動力を有するVブレーキを思いっきり引っ張るとフレームが歪む気がする。現実的にそこまでブレーキをかけると後輪がドリフト状態になるはずだが、やはり気になる。

これは困った。

トライアルバイク用のVブレーキブースターなるものが販売されているが、ブレーキ軸の長さが合わない。

使えそうな製品が手に入らないということで、自分で設計して作ることにした。

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晩酌のついでにCADソフトではなくてお絵かきソフトで適当に描いたものなので、真似をしてもらっても何ら問題ない。

ただし、ブルーノのSKIPPERに取り付けてみるとブレーキ軸の間隔が81mmよりも少しだけ広いらしく、リーマーを使って穴を広げることにした。アルミを切削した後でアルマイト処理による保護加工を施す場合には、現物合わせでブレーキ軸やボルトのフィッティングを調整した後で行った方がいい。アルマイト処理を行った後で削ると追加の塗装による保護加工が必要になる。

また、SKIPPERは頑張れば20x2.0のビッグアップルサイズのタイヤまで入るそうだが、このブレーキブースターは20x1.75までしか入らない。通常は20x1.5以下のタイヤサイズなので問題ないかと思う。

ブースターを製作する際の素材は、適当に見繕った8mm厚のアルミ板。職人にカットしてもらった後、別の職人にアルマイト加工を施してもらった。カットとアルマイトで1万円を超えてしまったが、見た目は古風なVブレーキブースターだな。

Vブレーキとブースターの間には20mmのアルミスペーサーを挟み、55mmのクロモリ製のボルトで固定している。ホイール交換のためにブレーキシューを開放するためにはこれくらいの間隔が必要だが、この間隔を狭めようとするとブースターが不格好なまでに大きくなってしまう。

ステンレス製ではなくてクロモリ製のボルトを使ったのは、異種金属接触腐食をできるだけ抑えるため。55mmの長さになるとアルミボルトでは折れてしまうかもしれないので、折衷案を採用した。

まあとにかく、この細工によってレバーを限界まで引いてもビクともしないブレーキ周りに仕上がった。

そして、ブレーキ台座の近くのブリッジとブレーキブースターの上にフェンダーを載せてタイラップで固定してみた。このフェンダーはフロントと同じくサイクルベースあさひのワンタッチフェンダー(リア用)。「なんだよ、あさひかよ!」と笑う人がいるかもしれないが、あさひのワンタッチフェンダーは秀逸だ。

自転車用の樹脂製のフェンダーはゴテゴテしたデザインのものが多く、取り付けても走っている最中にズレたり、とにかく不安定だったりもする。

それが嫌でクラシック感満載の金属製のフェンダーを使う人もいるが、それではメンテナンス性が落ちて雨上がりの掃除が大変だったりもする。

あさひのワンタッチフェンダーはとにかく丈夫で壊れる気配がない。リア用のフェンダーはタイラップで固定してしまったのでワンタッチで取り外せなくなったが、タイラップ用の穴を開けても強度に不安はない。

しかも、このフェンダーは海外製のフェンダーと比べてとても安い。以前からあさひが他のメーカーの類似品を生産して販売していたりもするが、彼らが本気になればコロナ禍による自転車用品の品薄を解決してくれると思う。

最後にリア後方からのシルエット。

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どう見ても、ただのミニベロのシティサイクルだ。これでラーメン屋に行っても周囲に溶け込むと思う。

なお、1.75の太いタイヤを履かせたので縦方向に車高が上がった。タイヤを含めると406ホイールと451ホイールの中間くらいのサイズだろうか。

それによって完成車に付属してきたブルーノオリジナルのキックスタンドが使えなくなった。スタンドの脚の長さが短くて駐輪時に傾きが大きくなり、倒れやすくなるからだ。

そこで、「lug cycle」というショップのセンタースタンドに交換した。このスタンドはとても軽量で使いやすい。脚の長さを調整する機能はないので、糸ノコで切断して高さを合わせる必要がある。私はパイプカッターという男性にとって物騒な名前の工具を使ったが、このスタンドの脚はアルミ製の中空パイプなので、ダイソーのノコギリでもカットが可能だと思う。

センタースタンドの脚の長さを決める時には、あらかじめタイヤの空気圧を決めてからカットした方がいい。いざ走ろうとしてタイヤに空気を入れた後、スタンドが短くて自転車が倒れるというコントのような展開になる。私もスタンドをお替り注文することになった。タイヤを細くする時にはスタンドも交換だな。

そして、金と時間をかけてブルーノのミニベロにカスタムを施したのだが、結果として残ったのは、こだわりが細かすぎて周りに伝わらないマニアックな愛車。そして、サイクルベースあさひは偉大だったという経験だった。