これからの相棒?魔改造のミニベロに決まっているだろう
そして、さらに気が早い話だが、「自分が残り48時間以内に死ぬと仮定して、最後に乗りたい自転車は何か」というコンセプトで次の愛車を決めることにした。色々と考えることも大切だが、残り少ない五十路の親父なのだから、趣味の世界では自由に生きよう。
「元旦から自転車の話だと?一年の目標を考えることはないのか?」と思われるかもしれないが、盆暮れ正月にあまり関係のない職場で働いているので、私にとってはあまり気分の変化がない。むしろ、「ああ、そういえば、年末年始だったな...」なんて意識すると気分が重くなる。
さて、自分が記した過去の録を眺めていると、衝動的にスポーツタイプのミニベロが欲しくなったという話が散見される。
それらを検索してカテゴリーでまとめてみると、まるで女性への浮気心かのようにミニベロへの想いが綴られている。だが、それは浮気心でも何でもなくて、大きな700Cのホイールをブンブンと回して車道を走ることが虚しくなっただけなのかもしれないな。
私の場合、スピンバイクに乗って室内でトレーニングを続けるだけで体重が減り、しかも出力のワット数が上がってきた。スピンバイクで汗を流すと、実に爽快な気分になる。
このような生活を続けているうちに、700Cの自転車に乗るよりもスピンバイクに乗る機会が増えた。
サイクリングという趣味の力点を週末のライドに設定すると、雨が降って乗れないとか、子育てが忙しくて乗れないとか、仕事が忙しくて乗る気が出ないとか、暑いとか寒いとか、そのような様々な理由があって乗らない日が生まれることが多い。
結果、週末のサイクリングでリフレッシュすることができないまま平日が始まったりもする。
加えて、屋外のサイクリングでは常に事故や落車の危険性がある。仕事が忙しい上に、夫婦共働きで子育てを続けている家庭では怪我で入院といった事態は避けねばならない。
さらに、コロナ禍が続いている昨今では、再び感染者が増えて現場医療が逼迫あるいは崩壊する可能性があったりもする。
対して、スピンバイクの場合には当然だが全天候でトレーニングが可能であり、深夜にペダルを回しても気になる騒音や振動が発生しない。数十分間で汗だくになるので効率的な運動が可能だ。
さらに、スピンバイクは動的なマインドフルネスを行う上でも便利な道具になることに気付いた。車や信号、歩行者を気にすることもなく深い瞑想に入ることができる。
そして、心身のトレーニングをスピンバイクを中心として行い、屋外でのサイクリングを補助的な活動にすることで、休日をより自由に過ごすことができる。
週末のサイクリングで心身の健康を維持しようとすると、気持ちやスケジュールに無理がかかる。その運動量をスピンバイクによる室内トレーニングで分散させ、実走はポタリング程度でも構わない。
となると、休日のサイクリングを楽しむための自転車は700Cの大きなホイールを有している必要はないわけだ。大好きな谷津道を走る程度のスペックは必要だが。
さて、48時間以内に死ぬ場合、私は自分でカスタムを施したミニベロに乗ってサイクリングに出かけ、その後でラーメンを食べたいと思った。
なぜにミニベロなのかというと、小回りが利くとか可愛いといった理由もあるのだが、走っていて楽しいから。
700Cの自転車の安定性や速度維持は素晴らしいものがあるのだが、スケートボードに乗っているような楽しさがミニベロにはある。カスタムも楽しい。
また、現実的な都合を考えると、浦安を脱出して23区に引っ越す場合、700Cの自転車を室内保管することは難しいと思う。子供たちが育ってくると、それぞれの個室が欲しいはずだ。
リビングの片隅にパーティションで私の書斎を作るという事態にもなりかねない。その際にもミニベロという選択肢を外すことができないな。
しかし、以前から折り畳み式のミニベロを手に入れて乗ったことが数回あるのだが、いずれも長続きしなかった。落車して負傷したこともある。
最初に、感じ方は人それぞれだが、折り畳み自転車によくある長く伸びたコラムとシートポストのシルエットが、私にはあまり美しく感じない。
しかも、フォールディングを考えるとステムがない場合が多く、実際に乗るとハンドルがクイックで走りにくい。
製品にもよるのだろうけれど、折り畳み機構の関係でフレームが不自然にたわむ感覚もあった。
それでも、輪行を考えると自転車を折り畳めた方が良いではないかという意見はその通りだ。だが、私は電車が苦手なので、そもそも輪行に出かける機会がほとんどない。
さらに、私は過度の心配性な性格なので、走行中に折り畳み機能が壊れて、いきなりフレームが折り畳まれてしまった場合のイメージが頭から離れない。
浦安を脱出して23区に引っ越した場合、フレームを担いで階段を上ることになるわけだが、その場合にはミニベロを折り畳む必要はなくて、フレームの三角を肩に乗せるというスタイルになる。
色々と考えてはいたが、答えはとても身近なところにあった。それは、駅までの通勤や買物などで使っている小径のシティサイクル。
早い話、このミニベロがもっと軽くて、スポーツタイプであったなら、もはやこれでいいのではないかという気持ちになる。
コンビニに立てかけてトイレに行くだけで盗難の心配があるとか、近所に買物に行くなんてもってのほかだとか、そういった高級な自転車に乗ること自体に私は疲れてしまったのかもしれない。
700Cのスポーツバイクの場合には、それなりにウェアを着込み、それなりのスピードで走り、それなりの距離を走るという不文律というか、まあそういった制約を自分自身に載せてしまうような感覚がある。
ストイックかつスパルタンに走ることも若い頃は楽しかったのだが、もはやそのような歳ではないなと思った。
この段階で、「折り畳まない廉価なミニベロ」という方向で次の愛車の選定が始まった。どうして廉価なのかというと、高価なフレームの場合には盗難が心配だから。また、そのようなフレームを使う必要性がないから。
ロードバイクに乗っていた頃から気に入っていたクロモリ製のホリゾンタルフレーム。リムブレーキ式の20インチ。手組ホイールの使用を想定して、前後のエンド幅が100mmと130mmというスペックを探すと、思ったよりも選択肢の幅がある。
ただし、20インチのホイールには2種類の規格があり、406は太いタイヤを装着する街乗り仕様、451は細いタイヤのロード仕様という私なりの解釈になる。
以前、451のミニベロに乗って砂の上でスリップして落車した経験があるので、406のミニベロを選択。
結果、ブリヂストンのクエロの20インチという車種が候補に挙がった。そう、ほとんどママチャリという感じの自転車だ。本体価格がロードバイクのホイールよりも安い。
だが、クエロの20インチでヤビツを登ったサイクリストの記事を拝読した限り、私が必要としているスペックはこの程度で十分だ。
加えて、どのような完成車を買ったところで、私の場合にはステムが気に入らない、シートが気に入らない、ディレイラーが気に入らないと、次々にパーツを換装してフレームしか残らないはずだ。
スポーツタイプの20インチのミニベロには、カンチブレーキという旧式のブレーキが標準仕様になっているモデルが散見されるが、おそらく納車当日にカンチブレーキを取り外してミニVブレーキを取り付けることだろう。
どうやら、あまり意識しないところで私はミニベロのカスタムについて考えていたらしい。まるで点と点が繋がり、線と線が面を作り出すように必要なパーツが頭の中に浮かぶ。
ステムとシートポストはNITTO。コンポーネントは耐久性を考えてシマノの9速。手首への負担を考えてベントしたフラットバー。ボトムブラケットはホローテックIIに対応したパーツ。
クランクは売り払わずに取っておいたGRXシングル。チェーンリングはウルフトゥース。
よし、善は急げだと思ったのでネットで注文したところ、どのショップもクエロが欠品して入荷未定あるいは長期納品になっていた。
仕方がないので、ブルーノの在庫を探して年末に注文してみた。在庫があれば何とかなるかもしれないが、ブルーノも欠品だとすると、もはや待つしかない。
シマノの9速コンポーネントは以前にロードバイクで使っていたことがあるのだが、11速と比べるとチェーンが太くてガッシリしている。価格も安く品薄にもなっていないようだ。
もはや、デュラだアルテだと見栄を張る必要もない。この開放感は素晴らしい。よくよく考えると、不思議な金銭感覚の中で10年間を過ごしたのだなと思う。
さて、正月の休業が開けたショップから完成車の納期について連絡を待っている間、メルカリにて700C用の自転車パーツを売り払って原資を確保することにした。
そういえば、20インチであってもホイールは手組の方がいいと思ったので、早速、職人に連絡して手組ホイールを製作してもらうことにした。
自転車本体とカスタムの総額を考えるとブロンプトンを買った方が安上がりだが、まだそこまで老け込む必要はない気がする。
普段着で浦安の外に出かけたり、ウェアを着て真面目に走ったり。そのように自由なサイクルライフがやってくる。
問題は、品薄になっている自転車本体が手に入るかどうか。原材料から完成車までのサプライチェーンが滞っており、在庫切れのモデルが実に多い。サイクルショップは物販から整備メインの業務体系に変わってきているらしい。
そんな時代がやってくるなんて想像したこともなかったが、すでに手に入ったパーツを眺めている自分の気持ちがとても楽になっていることが分かる。
本当に久しぶりの感覚だ。