2021/11/22

スピンバイクと断酒で4kgの減量

毎日の日課となっているスピンバイクのトレーニングの後、汗だくになった状態のまま体重計に乗る。ダイエットを始めたのが10月後半だったので、22日間で4kgの体重減。1日数十分の運動と三度の食事をとりながらの減量なので、まあこんなものか。

シャワーを浴びる前に洗面台の鏡の前に立ち、自分の腹回りを眺めてみる。お世辞にも絞れているとは言えないが、ようやく肋骨と腰骨の間にくびれができつつある。横を向いても腹が前に出ていない。


コロナによる医療崩壊を懸念したサイクリングの自粛、ならびに浦安住まいのストレスによる暴飲暴食がたたり、人間ドックでこれまで見たことがない体重と血液検査のデータが出た。

職業人をリタイアしてから5年程度で世を去るという将来をイメージしていたのだが、そのタイミングが予想よりも早くなってしまう。

これらの変化は加齢による身体の衰えも関係しているのかもしれないが、往復3時間を超える電車通勤が続く毎日では運動を続けるような気力も時間も残っていない。

さらに、老人になると朝が早くなるという話をよく聞くが、私は歳をとってから朝が弱くなった。自分のことを棚に上げて恐縮だが、早起きしてランニングやローラー台に向かうような中年男性たちは脳のスイッチがおかしくなっているのではないかと感じてしまう。さぞかし生きることが楽しくて仕方がないことだろう。

たが、循環器系が劣化してくる中高年においては、朝一番で運動することは心臓や血管に負荷をかけるので良くないそうだ。寒い早朝に走って脳の血管がプツンと切れたりすると大変だ。他者がどうなろうと他者が為す話だが。

とにかく痩せなくてはと思ったので、減量を始めてみた。

最初に取り組んだことは、毎日の日課となっていた飲酒を止めること。

アルコール自体のカロリーだけでなく、その分解に肝機能が動員されてしまうため脂肪が身体に付きやすくなる。また、今回は肝機能自体が異常値を示していたので、もはやアルコールを取っている場合ではない。

次に、ツマミや菓子といった間食を取らないこと。

しかしながら、朝と昼はこれまで通りに食事をとり、夕食については白飯などの炭水化物を抜いている。以前から夕食時は米飯の代わりに酒を飲んでいたので、結局のところ食事について大きな変更はない。

ただし、鶏卵は炭水化物に、マヨネーズは料理によく合うので、最初から手に取らないことにした。

また、ハイボールの代わりに冷やした炭酸水を飲み、その日の夕食が少ない場合には、冷凍うどんをレンジで加熱して食べることにした。

次に、毎日の運動として、自室に設置してあるスピンバイクに乗ってペダルを回すことにした。

電車通勤でストレスに覆われながら帰宅し、部屋着に着替えるタイミングでサイクルパンツを履く。

シューズを履くこと自体が面倒なので、スピンバイクには裸足で使うことができるペダルが取り付けられている。あとは心拍計を胸に取り付けて、そのままスピンバイクに乗るだけ。

マグネットによって段階的に負荷をかけることができるスピンバイクは、ローラー台のような騒音や振動が出ない。

深夜に思いっきりペダルを回したところで、エアコンくらいの音しか感じられないので、隣人どころか家族さえ気が付かないレベルだ。

また、「ダイエットには有酸素運動!」というフレーズが一般的だが、最近ではスクワットが効果的という話もよく耳にする。おそらく、大きな筋肉がある下半身に重めの負荷をかけることで基礎代謝を上げるという仕組みなのだろう。

この原理は、タバタ式トレーニングも同じだと思う。

スピンバイクに乗って軽い負荷でクルクルとペダルを回していても、脂肪を燃焼させるためには1~2時間をかける必要があるかもしれない。

ということで、スピンバイクに乗った状態で、タバタ式とまでは言わないが負荷を上下させ、基礎代謝を上げることにした。

長時間の通勤から深夜に帰宅して夕食および就寝までの時間を考えると、運動に使うことができる隙間はわずかだ。空腹を耐えることができる時間を考えて、毎日のトレーニングを20分間に設定した。

ジョギングでこのような運動量を確保しようとすると、ストレッチを含めて時間が足りず、さらに中年親父の私の場合には確実に膝を壊すことだろう。

服と靴があれば可能なので、ダイエットといえばジョギングというイメージがある。だが、実際には挫折する人が多いと思う。雨の日はどうするのかという話にもなる。

他方、深夜のローラー台トレーニングは一軒家だとしても家族からクレームが来るはずだ。20分間ではZwiftを楽しむ余裕もない。

よくよく考えてみると、スポーツジムには業務用のスピンバイクが並んでいる。限られたスペースと時間で効率よく運動するための器具として、スピンバイクは有用なのだろう。

そういえば、昨今のコロナ禍で様々なサイクル用品が品薄になっているが、スピンバイクについても欠品が相次いでいる。

ロックダウンや緊急事態宣言で外出を自粛する場合、家の中で静かにペダルを回す際には、スピンバイクが便利だということが国内外を問わず知れ渡ったらしい。

また、私自身の経験では、数万円から5万円前後の廉価版のスピンバイクはマグネット式ではなく接触式の負荷で音が大きく、回転軸が弱くてすぐに壊れることがある。

私が最初に購入した製品は日本のメーカーが販売していたが、生産は海外の工場であり品質管理がアレだったりもした。数十kgを超える重量なので壊れてから粗大ゴミに出す時が大変だった。

スペックや耐久性を考えると20万円前後のスピンバイクが妥当だが、それらが軒並み在庫切れを起こしている。

私が現在愛用しているタキザワのパワーマジックも納期未定。コロナの前に買っておいて助かった。

しかしながら、たった20分間ではあるけれど、ペダルを回し始めてからの5分間がとても厳しい。電車通勤で精神を磨り減らしているので、もはやすぐに座り込んで酒を飲みたい気分になる。

その辛い時間帯を耐えながらペダルを回し、10分を超えて汗ばんでくると、通勤で感じたストレスや現在の不満、将来への不安などが汗とともに自分から染み出してくるような感覚がある。

15分を超えると、上半身から大量の汗が噴き出てきて、ハンドタオルで拭きながらペダルを回す。

20分に達すると、あと10分くらいペダルを回したい気分になるが、それは明日の楽しみとして切り上げ、シャワーを浴びる。

しかし、翌日に通勤地獄から帰ってくると、やはりペダルを回す気力が残っておらず、最初の5分間が厳しい...というサイクル。

帰宅して妻が甲高い大声で怒鳴っていても、子供たちが眠っていたとしても、ただひたすら黙々とペダルを回して汗を流す日々。

自分は一体、何をやっているのだろう。通勤が嫌ならば引っ越せばいいだけの話なのに、子供たちを育てているとそれも難しい。

抗うことができない現実ばかりで嫌になるが、それでも生き続けなくはならない。結婚したことは、自分の人生に幸せをもたらしたのだろうか。

往復3時間を超える電車通勤で、30分間くらいはホームの上で立ったまま電車を待っている。何ら生産性のない無意味な時間だ。

千葉都民ならばこれくらいは普通だと妻は言うけれど、毎日の貴重な30分間を無駄に捨てているようなものだ。そして、多くの父親たちと同じように通勤時間が長くて運動することが難しく、腹に脂を蓄えるだけ。

真面目に働いて帰宅すれば、夕食から就寝までの時間が短くなる。食べてすぐに寝ると太るなんてことは分かりきっているが、そうでもしないと睡眠時間が足りず、仕事のタスクをこなせない。通勤に3時間もかけていたら、1日が21時間しかないからだ。

そして、タヌキの置物のような腹になって太る。

千葉都民の中年男性たちの太った腹に蓄積しているのは脂肪だけではない。家族により良い住環境を用意するために、自らが不健康にならざるを得ない生活スタイルを選択したことへの悲しみ、そして毎日の疲労とストレスが彼らの腹回りに蓄積している。

何が普通なもんか、夫が不健康な生活を続けて家族のために頑張っているのに、妻はそれが普通だと言って感謝も労いもない。千葉県民と結婚しなければ良かったとさえ思う。

しかし、憤ったところで千葉都民になってしまった以上は仕方がない。都内に引っ越すまでの我慢だ。

様々な葛藤とストレスを抱えていても、ペダルを回して汗だくになると、良い方向に疲れて眠りが早くて深くなる。たった20分間だが、精神面においても現実に抗う貴重な時間だな。

現時点で4kgの体重減なので、あと3kgを落として全体で7kgくらいの減量が進んだ時点で、リバウンドしないように体重を固定しようかと思う。

そろそろズボンが緩くなってきた。目標値に到達したら、20代の頃に履いていたサイズのジーンズを履いてみよう。