シマノのディスクブレーキパッドさえメーカー欠品という緊急事態
サイクリストではない人には何のことやらという話かもしれないが、シマノが販売しているディスクブレーキのパッドさえもメーカー在庫が尽きて小売店の在庫のみ。次回の入荷は来年になるそうだ。何とかなるだろうと暢気に構えているサイクリストは多数いると思うが、これから阿鼻叫喚の事態が始まるかもしれない。
ディスクブレーキのパッドという大切な消耗品が欠品するなんて、想像したことがなかった。
しかし、自転車店をまわって在庫切れに驚いているサイクリストがたくさんいるので、この話はデマではないようだ。
サイクル業界が盛大にディスクブレーキの販売を推し進め、新しく販売されるロードバイクの多くはディスクブレーキ仕様になってしまっている。
マウンテンバイクについては、もっと前からディスクブレーキが標準仕様になっている。
これは困ったな。
スペアのパッドを手に入れることができなかったサイクリストたちは、できるだけパッドを消耗させないようにブレーキングを減らす、もしくは緩めにかけて走ることになるのか。それではディスクブレーキの意味がなくなる。
これは困ったことになったな。
私の愛車は時代遅れのリムブレーキなので影響がないけれど。
メーカーで欠品しているのが消耗品だけかと思っていたら、最先端の油圧式ディスクブレーキと電動変速のためのSTIレバーも欠品しているらしい。デュラやアルテのグレードのレース仕様だろう。
これは大変だな。
立てかけておいたロードバイクが倒れてしまったりしてSTIレバーが壊れたら、買い替えが難しい。修理部品も欠品しているかもしれない。
最新鋭のSTIレバーを使っているロードバイク乗りたちは、ディスクブレーキのホースを口にくわえて油を吹き込み、念力で電動ディレイラーを動かすということか。無理だなそれは。
完成車として販売されているロードバイクの中には、シマノではなくてマイクロシフトのSTIレバーを取り付けたモデルが流通し始めているようだ。
となると、電動式だけではなくて、機械式のSTIレバーも品薄になっており、欠品する可能性があるということだな。
マイクロシフトは、シマノの陰であまり目立っていないが日本国内の自転車メーカーのヨシガイが製造しているブランドだと理解している。
ヨシガイはダイアコンペというブランドのブレーキやエネチクロのクランクなども販売しているので、頑張れば完成車が組み上がるかもしれないな。
Amazonや多くのネットショップは在庫管理がしっかりしているが、システムが上手く機能してしまうので、隠れ在庫もなくなる。つまり、在庫が切れる時には一気に尽きる。
あとは実店舗のサイクルショップを回って、在庫されていた製品を探すくらいだろうか。
これは大変なことになったな。
私の愛車はフラットバーなのでSTIレバーが必要ないけれど。
クロモリロードバイクでWレバー台座があるので、シフターが欠品してもWレバーで変速することが可能だったりもする。
それはともかく、シマノ製品の品薄は昨年、つまり2020年の段階ですでに生じており、その背景にはコロナ禍がある。
公共交通機関を利用した場合の感染を避けるための移動手段として、あるいはイベントや外出が制限された状態での運動やレジャーの一環として、世界的にスポーツバイクの需要が高まっているらしい。
加えて、シマノは製造のための工場を日本国内ではなくて、マレーシアやシンガポールといった海外に依存している。
それらの国でコロナによるアウトブレイクが生じた場合、需要が高まっても生産ラインを増やすどころか、むしろ製造が滞って供給が間に合わない事態が生じるということだな。
そして、日本国内のサイクリストが気づいているかどうか分からないが、米国や欧州ではワクチンの接種によって感染者数が減少傾向にあるけれど、アジアのダメージが大きくなっている。
とりわけ、シマノが海外工場を設置している国々の感染者数は増加傾向にあり、主体となっているであろうマレーシアでのサイクル製品の大幅な供給増は望めない。
しかも、シマノとしては完成車を販売するメーカーとの契約を締結しているだろうから、それらのメーカーのために用意するパーツを確保する必要があることだろう。
結局のところ、日本国内の小売のために用意されるサイクル製品は後回しになってしまうのかもしれないな。
これから予想される展開としては、年内を目処にシマノの製造ラインが安定してきて、年明けには以前のようにパーツや消耗品が供給されるというパターンと、より状況が深刻になるというパターンが想定される。
現時点としては、欠品した状態での発注、つまりバックオーダーが膨れあがっているだろうし、海外の製造拠点での感染拡大が沈静化する兆しが認められない。
シマノに限らず、サイクリストにとっては定番となっているコンチネンタルのタイヤやチューブも品薄になってきているそうだ。
確かに私が愛用しているコンチネンタルの四季タイヤの28Cは国内在庫が尽きて手に入らなくなっている。
最近ではロードバイク乗りたちが使うビンディングペダルも在庫が減ってきていて、105グレードのリアディレイラーもそろそろ欠品することだろう。
最も痛いのはチェーンやスプロケットだな。ディスクブレーキのパッドが在庫切れになるくらいの状況なので、ビンディングシューズのクリートが欠品する事態さえ考えられる。
手組用のハブが手に入らなくなっているということは、ハブ自体の在庫が減ってきているということだ。
ハブの供給が間に合わなくなると、完組ホイールのメーカー在庫がなくなることも考えられる。実際には鉄下駄ホイールの値段までが上がってきている。
まだネット上で注文が可能だからと暢気に構えていると、すぐに在庫がなくなるかもしれないな。
サイクル用品に限ったことではないが、一度、品薄の傾向が始まると、そこから連鎖反応のように在庫が減ってしまうことがある。
これが日本特有の現象なのかどうか分からないが、品薄になってくると自分が使う分を確保しようとする人たち、もしくは買い占めておいて高値で転売しようとする人たちが出てくる。
トイレットペーパーが店頭から姿を消すという事態は、昔も今も変わらないし、それが人の心理なのだろう。
さて、この状況で私はどうすればいいのだろうか。欠品になってしまうのであれば、今のうちに予備を手に入れておこうと思う。消費者心理に乗ってしまっていることは分かるのだが。
私の場合には心身の健康を維持するためにロードバイクが必要だ。
むしろ、心身がすでに健康ではないので、かろうじて生き抜くためにロードバイクが必須の存在になっている。やはり今のうちにサイクル用品の予備を買いそろえておくか。
フラットバー用のシフターについては、その後もメルカリで探してスペアを手に入れておいたので大丈夫そうだな。いざとなればWレバーもある。
チェーンは予備の新品が1セット。少し頼りないな。この在庫薄が1年で解消されるとは思えないので、今のうちにもう1セットを補充しておこう。早速、Amazonでポチっておいた。
スプロケット、フロントのチェーンリング、リムテープといったシマノ製品は何が欠品するか想像も付かない。海外の生産拠点の工場が稼働停止になるかどうかで話が変わってくる。
それと、リムホイール用のブレーキシューも多めに注文しておこう。これらもAmazonでポチっておいた。
フレームさえ買えば、ロードバイクがもう一台組み上がってしまう状況だが、いやはやこれは仕方がないな。
品薄になったところでユーザーが注文を増やすと、その品薄がさらに進んでしまうことは分かっているけれど、ストレス障害で苦しんでいる私にとっては、さもしい行動だなんだと言ってもいられない。
さらに、コンチネンタルの28Cの四季タイヤが手に入らないので、以前から気になっていたシュワルベのマラソンというタフなタイヤを注文することにした。
シマノのインナーケーブルについても品薄になってきているようだが、私はシマノではなくて日泉ケーブルを使っていて、一度、ニッセンケーブルを使うとシマノに戻れないという感想を理解することができたりもする。
ケーブルを製造するための原材料が品薄になるという可能性も否定しえないが、そのような状況になるとサイクリングに行こうと言っている場合ではないかもしれないな。
だが、悩むくらいならば、今のうちに買っておくか。ニッセンのシフト用とブレーキ用のインナーとアウターのチューブもポチっておくことにした。
以前から気になっていたが、サイクル業界はシマノに大きく依存しすぎていた。
日本のメーカーが世界的に認められていることは日本人として誇りに思うことだけれど、シマノでの製造が滞ることで世界中のサイクリストが困ることになるというのは、とてもリスキーな状態だったのだなと思う。
同時に、シマノが圧倒的なシェアを有していても、ヨシガイや日泉のように日本国内でサイクル用品を製造および販売してきた企業の大切さを実感した。
有名どころとしてシマノ製品を選んでしまうことは仕方がないとは思うけれど、その供給が滞って欠品が続いた時、結果的に他のメーカーがサポートしてくれるような状況は、サイクリストにとってありがたいことだ。
気になる点としては、シマノを主体としたマーケットがないと成り立たないサイクルショップの経営だな。
私の親は自営業だったので、商売の厳しさを子供の頃から実感して育った。
経営にダメージを与えるインパクトが生じてすぐに傾くというよりも、数年経ってからいきなり倒産というパターンが多いという話を聞いたことがある。
融資や借金で何とか経営を続けて他の選択肢がなくなり、首が回らなくなって潰れ、最後は経営者がどこまでも追い詰められる。
シマノは増益になったが、これから自転車店の閉店の波がやってくることだろう。
それらの波を耐えることができる自転車店はどのようなタイプなのかと考えてみると、ママチャリからクラシックなバイクまで幅広く対応するような店、あるいは自社ブランドでコンポーネントまで用意することができる大型チェーンかもしれない。
レース仕様の高額なスポーツバイクを専門に取り扱うプロショップが真っ先に破綻する気がしてならない。
それにしても、ようやく愛車のカスタムが完了し、さてこれから節約生活に入ろうと思っていたのに急な出費になってしまった。
自宅にAmazonの段ポールが到着し続けることになるので、週末はテイクアウトで夕食を用意して妻の機嫌を取ることにしよう。
だが、バーンアウトからようやく回復してきて、今では離人感に苦しんでいるような状況だ。ロードバイクでのサイクリングが大げさではなくて生きるための工夫になっているのだから、必要経費だな。将来的には購入するものだ。
サイクル用品の予備は金を出せば買うことができるが、自分自身の予備を買うことはできない。