2019/12/13

分かり合えないロードバイク乗り

「おい...どうしてくれるんだよ...これ...」

終電が近づく時間帯。


空腹と眠気に耐えながら残業を続けていて、とあるロードバイク乗りから連続して届いたメールのことが頭をよぎって集中力が途切れた。

人の心は波打っているので仕方がないが、私の心のどこかに引っかかっていたというよりも、頭の中を覆うくらいに不愉快だった。

案の定、仕事でミスをした。

この腹立たしさ、憤り。

趣味のトラブルが仕事に影響するなんて。

メールの送り主は年内で閉鎖することを決めているロードバイクサークルのメンバーの一人。

私はそのサークルの世話人を3年間くらい務めていて、人間関係に疲れたので年内にサークルを解散することにした。

そのメンバーはネットで募集して入会してきた人だが、考え方や発言が独特で、私はいつもカチンと来ていたが、世話人なので我慢していた。

何をもって独特かという基準は主観的なものだ。彼を全否定するわけではない。つまりは人同士が合う合わないという話。

ネットでメンバーを募集すれば色々な人がやってくる。便利な世の中ではあるけれど、世話人は様々な人たちを迎えなくてはならない。

ネットからスタートする交流は本当に厳しい。

彼はライドの度に「証拠写真を...」と他のメンバーの写真を撮影していた。奥さんに対して浮気ではないことを示すためらしい。

入会した初回のライドからこれだ。発足時からのメンバーも神妙になった。

彼はグループライドへの参加回数は多かったが、正直なところ苦手だった。

しかし、私は世話人なので、サークルのためと思い、数えきれないくらいの我慢を続けてきた。

私もハンドルネームでサークルの世話人を続けていたので仕方がないところはあるが、どこに住んでいるかとか家族はこういった感じといったことはメンバーに紹介していた。人の内面を紹介するとはそういうことだ。

彼はどうやら本名のような偽名を使ってサークルに入会してきたようだ。以前、市内のマラソン大会に出場したと言っていたが、どこを探しても本人に該当するリザルトが見当たらない。

いくらサークルでプライベートなことを紹介する必要はないとはいえ、どの地区に住んでいるかも言わない。奥さんがいるそうだが家族構成も分からない。

自分のことをほとんど話さないのだから、どこの誰かも分からない。計算高いのか、こだわりが強いのか。

どこの誰かも分からない人と、命に係わることもあるグループライドに出るわけだ。

私は親しいメンバーにはハンドルネームではなく本名を伝えていた。友人に隠し事は無用だ。しかし、彼とは何度走っても友人関係を構築する気持ちになれなかった。会話がかみ合わなくてカチンと来た。おそらくデフォルトでこうなんだろうと。

グループライドをアナウンスすると、彼から頻繁に参加や不参加のメッセージが返ってきたりもした。

他のスポーツサークルの予定があるから不参加という連絡が来る度に私はカチンと来た。

それならばそのサークルで頑張ればいい。掛け持ちのサークルの都合を私に送りつけてくるのは、世話人に対して失礼だと感じた。

その連絡に返信する私の手間は不毛でしかない。彼としては私に気を遣ってくださったのだろうけれど、メールが届く度に重い気持ちになった。

しかし、本人なりにライドを楽しんでくださっているし、人には長所があれば短所もあって当然で、完璧な人なんているはずがない。

サークルのリーダーはメンバーの多様性を受け入れる必要があると耐えた。

しかし、今回の件はさすがに堪えた。

私は、睡眠時間さえ削って仕事と共働きの子育てを続けている。年末年始は特に激務だ。

何とかやりくりして用意した短い時間にソロライドに出かけているが、それだって心身の健康の維持のためだ。

私がそこまで厳しい状況にあることをブログを見て知っているはずなのに、日付指定でライドに行こうとメールを送ってきた。

さらに、「何日の何時までにメールがなければメールを見ていないと判断する」という条件付きのメールが送られてきた。

私がずっと我慢してきた考え方のギャップがこれで、思ったらすぐに行動するタイプなのだろうか。どうして察することができないのかと。

些細なことではあるけれど、サークルを閉じることになったので耐える必要がなくなり、今までに蓄積したストレスが一気に吹き出したのだろう。

私は3年間もサークルを支えてきた。もう限界だと言っているのに空気が読めないメールだと思った。

メールの返信期限まで指定してくるなんて、仕事ならともかく趣味の世界で使うフレーズではない。

私は夫婦共働きで子育てを続けている。しかも激務だ。どうして彼の予定に合わせて私がなくてはならないのだ。

そして、色々と気にしていたら、仕事中にミスをしてしまった。

直接的な原因ではなかったとしても、仕事に集中できていれば生じるはずのないミスだ。

夜中まで仕事を続けていたのに、趣味のサークルの余計なトラブルで時間も労力も無駄になった。

友人とのライドを楽しみにして仕事を頑張るのは素晴らしいことだ。日程や時間だって調整する。

苦手な人からのメールはその逆。どうして私がその人の都合に合わせてライドに行かねばならないのか。

私は勤務時間中に私用のメールを送らないし、忙しい時期は日付が変わるくらいの時間まで働いている。毎日のように仕事のデッドラインがやってくる。

何日の何時までに返信がなければなんて、予定が立たないのだから返信できるはずがない。

彼にはサークルを掛け持ちするくらいの余裕があるのかもしれないが、私には全く余裕がない。

友人からのメールであれば頻繁に届くと嬉しいが、合わない人からメッセージが届くと気が重い。

ただ、その原因を生じた責任は私自身にあるのだろう。ロードバイクサークルを立ち上げてメンバーをネットで募集したからこうなった。自業自得だ。

一度入会を許してしまうと、世話人は余程のことがない限り、性格や話が合わない人とでも付き合っていくしかない。

仕事や家庭なら仕方ないが、息抜きのはずの趣味でストレスを受ける。これがネットを介したロードバイクサークルの現実か。

様々なサークルやチームで同様の人間関係のトラブルがあるのかもしれない。

私のサイクルライフはソロライドが中心の生活にとなったが、機会があれば一緒に走ろうとお声掛けができる相手は、ネットがきっかけで出会っていない。

サークルが立ち上がる前から付き合いがあった人や、ネットではないリアルな場所で出会った人、他の機会があって知り合って実はロードバイクに乗っていたという人。

他方、ネットを使って積極的にサークルへの入会を希望してくる人たちは、去り際も早い。まるでネット上の友達申請のようだ。

それにしても、今回の仕事のミスは大きかった。

その結果、今週は休日出勤だ。

貴重な実走の時間さえなくなり、平日に続いて休日も電車通勤。とても疲れるし、妻にも負荷がかかる。

他者の生活まで巻き込まず、一人で走ったらどうだろう。

ほとんどツキイチでトレインを引っ張ろうとしない人だったが、それが良くないことだと分かっていたのだろうか。

私はサークルの世話人を辞めるので、人間関係で耐える必要もなくなる。もはやロードバイクという趣味で浦安市内での友人の輪が広がるなんて夢は捨てた。

サークルの世話人として使用していたメールアドレスも消去する。このサイトの問い合わせ窓口さえ閉じたい。

ロードバイクサークルも、ネットを介した仲間探しもウンザリだ。