2019/12/26

ロードバイクの整備は自分で

まだインフル開けの体調が芳しくないが職場へ。


インフル地獄の後の通勤地獄は、今までに感じたことのない新しい地獄を察するに余りあるものだった。

ずっと床に伏していて朝になって起き出して出勤したためか、水平感覚がおかしい。眼球を左右に動かすと、眼振ほどではないがめまいがやってくる。

喉の痛みや咳と痰は、カルボシステインとエンピナースとメジコンの三点セットでなんとかごまかしてはいるが、痰を出すと血が混じる。おそらく気管のどこかで出血していることだろう。

全身性のウイルス血症によると思しき尿の赤色や顔面の土色の変化は随分と改善傾向にあるが、それでもダメージは大きい。

いつもは抗ウイルス薬を使わずにインフルエンザウイルスとガチンコ勝負を挑んできた私だが、やはり寄る年波には勝てないなと感じる。

毎年の年末はそれなりに休みを取ってロードバイクのオーバーホールを自分でやっているのだが、今年はさすがに十分な時間をかけることは厳しいかもしれない。

年末の仕事が子供のインフルの看病と自分の罹患で大幅に遅れてしまっている。年末は大晦日まで働いて、新年は元旦から仕事かもしれない。

かなり弱々しい足取りで出勤し、年末のためか空いた座席に沈みながら乗り換え駅までの到着を待つ。

毎年のオーバーホールでは、その年の走り方を想定してロードバイクの細かな部分を変えるのだけれど、来年はどのような形に進めようかと思案する。

オーバーホールといっても、民間資格を持ったプロショップがやってくれるような整備ではなくて、あくまで自己流の話。

プロショップは嫌いではないのだが、他者の愛車をジロジロと眺めて上から何かを言ってくる常連がいたりするので行かない。

元々、私は職人の家系なので工具の扱いは子供の頃から慣れている。

スキルアップとともに工具を揃えて、現在ではホイール以外を自分でほぼ全て整備する環境が整った。

ボトムブラケットやリアディレイラーのプーリー、チェーン、シフトワイヤー、ブレーキワイヤー、バーテープなどを新品に交換するだけなので大して難しくもない。

私は神経質なので各パーツを交換した年月日をエクセルで管理していて、走行距離を踏まえて交換のタイミングを計算している。

消耗したパーツを延命しながら使うよりも、ある程度の使用時間を目安に交換している。ライドの最中に壊れるとダメージが大きい。

ヘッドパーツのグリスアップ、もしくはタイヤやチェーンリングの交換は必要に応じて実施。

命を預けるホイールの整備は自己流ではなくて、数年に一回のペースあるいは振れが出た時に、信頼に足るプロショップに丸ごと送って整備してもらっている。

ツールさえ手に入れればホイールの整備も自分で出来るかなと思っていたが、とある職人に手組ホイールを組んでもらい、あまりの完成度の高さに度肝を抜かれてからはホイールだけはプロに頼もうと思った。

とはいえ、プロショップの看板を掲げている全ての人たちがホイールを完璧に整備しうるかというと、私的にはどうなのだろうと感じてはいる。

自転車の整備はある程度まではプラモデルと同じ感覚で進めることができる気がする。Amazonでステムを買って交換するとか、そういった作業ならとりわけ苦でもない。

しかしながら、ホイールの場合にはプロでないと難しい一線がある気がする。

加えて、プロショップの看板を掲げていても、素人に毛が生えたレベルと明らかな職人のレベルが分かる部分がホイールだと思う。

あまり詳しく説明すると角が立つので言わないが、私は浦安市内のプロショップにはホイールの整備をお願いしない。

本当に大切にしているホイールは東海地方の或ショップに送って整備してもらっている。

このショップの職人が整備してくれる手組ホイールは、私の体重や好みに合わせて組まれていて、乗っただけで違いが分かるほどに秀逸だ。全く同じセットをリピートで購入しようかと本気で思っている。

さて、世の中には愛車のオーバーホールをプロショップに依頼するロードバイク乗りと、できる限り自分で整備したいロードバイク乗りがいる。

安全と手間を考えると前者の方が楽かもしれない。このカテゴリーにも二種類のタイプがある気がする。

一つは、レース志向で完全性を求めたり、フラッグシップのマシンを自分でいじりたくないというタイプ。

もう一つは、機械いじりが得意ではなかったり、忙しくて整備している暇がなかったり、整備のための道具を揃えるための金銭的余裕がないタイプ。

他方、自分でロードバイクのオーバーホールをやってしまう後者のカテゴリーにも二種類のタイプがある気がする。

一つは、ロードバイクに金をかけることができないので、自分で整備して作業賃を節約したいというタイプ。

もう一つは、工作が得意でこの程度の整備なら自分でも可能だというタイプ。

ロードバイクの楽しみは人それぞれで、安全が確保されれば、どのスタイルが正しいのかなんてその人が決めることだと思う。

私なりの経験ではショップのスキルにも幅があって、ステムのボルトが緩んだまま納車するような店まであったりする。必ずしもショップが完璧なのかというと分からない。

自分で整備しないタイプは、気に入った店でロードバイクを購入して、より定期的にチェックする形が安心なのだろう。

海外通販で日本のユーザーがシマノのコンポーネントを購入することが難しくなった背景としては、できる限りシマノ製品を実際の店舗で購入して整備してほしいという自転車業界の思惑が透けて見える。

ユーザーが自己流で整備して何か深刻な事故が起きた時、パーツを販売しているメーカーの責任になると大変だ。

店舗でパーツを取り付けるなら、そこにスタッフが介在するので安心というロジックだろうか。小売店の利益も多少は確保することができるのではないかと。

シマノのパーツ等の日本語のユーザーマニュアルを見ても、昔はユーザーが自分で整備しうる内容だったのに、詳細な説明がディーラーマニュアルに引っ込んでしまった感がある。

その日本語のディーラーマニュアルさえも読みづらくて困っていたのだが、何のことはない。海外の英語版のマニュアルでは詳しく内容が公開されていたりする。

このように国内外でユーザーへの情報提供の形を変えるシマノの態度は感心することができない。

昨今のロードバイクブームの背景には、海外の通販で安くパーツやホイールを手に入れて自らの愛車をカスタムして楽しむという良さが少なからずあって、それを抑えてしまうと結果的にロードバイクブームが下火になってしまうのではないかと思う。

25Cのタイヤが流行りだと頑張って押して、今度はディスクブレーキが流行りだと頑張って押して、日本のサイクル業界も忙しいものだと感じはするが、ロードバイクブームは着実に終焉に向かっている気がしてならない。

そのうちロードバイクの流通はMTBやミニベロと同じくらいのレベルに落ち着いて、プロショップが大量に閉店する気がする。

レース志向の人たちは乗り続けるかもしれないが、ロードバイクの普及は定常的なものではなくて、あくまでムーブメントの一つだと私は考えている。

元々、工作系のホビーが好きな人が多い日本の場合には、サイクル業界の戦略は他国と違ったアプローチで進める必要があったと思う。

日本ほどスチールフレームのビルダーが充実している国は少ないだろうし、世界のトレンドがカーボン全盛であったとしても、趣味としてクラシックなバイクでサイクリングを楽しむという自転車の良さも残されている。

それなのに、ロードバイク業界の視点がフレームあるいはパーツの剛性や軽さ、およびライダーの脚力やタフネスに重きを置いたような価値観ばかりが先行している。

ユーザー側の視点も似たり寄ったりで、この趣味を始めた人たちを疲れさせ、すぐに飽きて降りてしまう人たちを増やしているのではないかとさえ思う。

結果、ロードバイク乗りの人口が増えるどころか、始めては降り、始めては降りを繰り返して、業界としても利益が伸び悩んでいるのではないか。

...と、一人のロードバイク乗りがとやかく言ったところで始まらない。

来年からのライディングスタイルとしては、ソロが中心になる。お気に入りの内房方面を往復するルートが主体になることだろう。

子供たちもあまり手がかからなくなってきたし、妻としては私が午後に出発してどこかに一泊して午前中に帰ってくるようなライドも許されるようだ。

もちろんだが子供たちの塾や習い事の予定が詰まっていないことが条件になる。

オッサンが一人旅なんて、奥さんがよく許すよなと思われるかもしれない。

私はこれといった欲があまりなくて、浮気についても、飲む打つ買うの類いについても関心がない。

例えばどこかに一泊したところで異性と落ち合ったり、風俗に行くというような盛んな性欲がない。そもそも潔癖症の性質があるので感染症の検査が済んでいない他者と触れ合う気になれない。

食事といってもとりわけ豪勢なものを楽しみたいという欲がなくて、せいぜい牛角とかその辺の居酒屋で十分。見当たらなければコンビニの弁当と缶チューハイで用が足りるくらいの人だったりする。仕事で出張に行った時もこのような感じ。

私があまりグルメライドを好まないのも、走っている最中にきちんとした食事を摂ると、腸が動いて大便がしたくなるという動物的な理由だったりもする。

そのような私の引きこもり体質を妻が理解しているので、例えば私が房総方面に向かって走って行って、大浴場もしくは温泉があるホテルや民宿に一人で泊まってのんびりして、翌朝にホテルの朝食を食べてから浦安に帰ってくるくらいなら構わないという話だ。

妻としては感覚過敏の鬱陶しい夫が自宅にいないだけで気持ちが楽になるからなのかもしれない。

世の中には様々なタイプの奥さんがいて、ご主人がロードバイク関連のウェッブサイトを閲覧しているだけで顔を曇らせたり、ロードバイクを室内で保管するだけで嫌がる人さえいるらしい。

ただ、奥さんがご主人のロードバイクという趣味に理解があるかどうかという点については様々な要素がある。

ご主人が過去に落車したり事故に遭ったというエピソードがあって奥さんが怖い思いをして、なおかつ奥さんがご主人のことを本当に愛していれば、ロードバイクという趣味に反対することだろう。

そこまで心配してくれて愛してくれる奥さんなら、ご主人も本望ではないか。

また、子育てで忙しい時にご主人がロードバイクのレースやライドに出かけてしまうと、たとえその回数が年に何回かしかなくても不満に感じる奥さんは多いようだ。

子供が小さな時期は長いようで短いので、その期間は我慢してロードバイクに乗らないという選択は全く間違っていない。ロードバイクは子育てが終わってからでも乗ることができる。

子育てはある程度の期間が過ぎると可愛らしい時期がなくなる。

そもそもオッサンの脳の記憶容量は数年分くらいしか保存できないようで、数年前のことしか思い出せなかったりする。

子育てでロードバイクに乗れなくて、子供たちが育って相手にされなくなってからロードバイクを再開したとしても、数年経てばずっと乗ってきたような感覚になることだろう。たぶん。

ロードバイクの室内保管を嫌がる奥さんの気持ちも分かる。道端で犬の尿を踏んだかもしれないし、フレームのボトムチューブにミミズを大量に付着させたような状態で家に持ち込むなよという主張は理にかなっている。

うちの妻は性格が荒くてすぐにキレるが、私のロードバイクという趣味にはとても寛容だ。

家の中に保管することができる自転車の台数は2台までと妻から決められているが、新しいロードバイクを買っても文句を言われたことが一度もない。

交通事故に遭った時にも顔色ひとつ変わらなかった。

おそらく、妻としては仕事と子育てで忙しすぎて、私の趣味というか私自身についてあまり関心がないのかもしれない。

そういえば、年末に私が値の張るロードバイク用品を買うだろうと思っていたところでボーナスを全て子供の学費の口座に貯金することを妻に伝えてから、妻が何となく優しい気がする。

たった一人の私立中学の受験だけでフルスペックのヴェンジの完成車が2台くらい楽に買えてしまうくらいお金がかかり、いざ入学すると初年度の入学金と授業料だけでもう1台のヴェンジが買えてしまう計算になる。

これからも貯金しよう。

まあ、夫婦共働きは大変だけれどダブルインカムの経済力はそれなりにあって、私が自由に使える小遣いだけでもロードバイクの趣味が維持できたりもするので、DURAグレードのパーツとか新しいフレームといった大物を買わない限りはあまり痛くもない。

むしろ、自転車に乗った泊りがけの一人旅という趣味が何だかリラックスできてよい気がする。

かさばる荷物は宿に送ってしまったり、宿から自宅に送ればいいわけだし、そこでのんびりと湯船につかり、地酒を飲み、読書でもしながら眠りに就き、リフレッシュして自宅に帰る。

うん、大人の趣味としてはなかなか良いのではないかと思う。

これなら内房だけではなくて、熱海とか色々な方向を想定することができる。

オーバーホールの際にもこの点を想定して準備しておこう。

というか、私の現在のクロモリロードバイクはすでに通勤時の夜間走行のためにカスタムを行っているので、とりわけカスタムするところもないな。

これからは速く走る必要はなくて、時速25kmくらいでのんびり走ることになることだろう。手組ホイールのタイヤが23Cなので、乗り心地と安全性を考えて25Cにサイズアップしておこうか。

ロードバイクという趣味では、他者を意識せず、速く走ることを意識しなければ余裕が生まれる。

精神的な部分だけではなくて、財布にも優しい。