年末の掃除で果たす役目とは
この体調では職場に出られず、周りに迷惑をかけてしまう。
しかも夜になると副鼻腔から喉に鼻水が降りてきて、咳が激しくて眠れない。
後鼻漏という症状だ。近くの耳鼻咽喉科クリニックは閉まっているだろうし、この多忙な時期に知り合いに何とかしてもらうのも気の毒だ。
ということで適当に薬を飲んで布団で横向きになって回復を待つ。
今年の年末に病床から家庭を眺めていて感じることがあった。
それは妻による自宅の大掃除のペースがとても速いということ。あまり悩まずにサクサクと片付けが進んでいく。
私の場合にはこだわりというか、それぞれの物たちの使い勝手やこれまでの使用頻度、そして将来の利用価値まで計算するからなのか、大掃除に時間がかかる。
落ちにくい汚れがあると、それを落とすために化学的な特性までを考えて落とそうとする。
カビなどの微生物系の汚れは次亜塩素酸で除去しないと気が済まない。洗剤の成分は当然だが全てチェックし、濃度や粘度も推測する。
全体を可能な限り仕上げてから、足りない部分を探して再び作業を続ける。
やり方自体が、Plan, Do, Check, Actionという流れだ。なので私自身も疲れる。
ところが、妻の大掃除は最初に8割、いや6割くらいの力で全体を片付けた後、残った部分を6割くらいの力で整えていく。
おそらくだが妻の思考は、デザインシンキングがベースになっているのかもしれない。
Emphasize, Define, Ideate, Prototype, Testという流れ。妻は掃除だけではなくて料理のスピードも速い。
私だって食材の加熱時間を分単位、調味料の添加量をグラム単位で記載したプロトコルがあれば料理だって作ることができる。
しかし私が料理を作っていると妻がイライラするようで、結局はイクメンとはほど遠い役立たずになる。
とはいえ、新年まで48時間を切った。妻の感情が大噴火してキレるリスクも高まった。
妻が子供たちを連れて買い物に行くタイミングで、私が担当している掃除のパートをこなす。
マスク姿で咳込みながら、フラフラと床から起き出してキッチンの換気扇の前へ。
私が戦うべき相手は換気扇の油汚れ。最近の界面活性剤の効果はなかなかのものだ。
体力が残っていないので、妻を見習って8割くらいの力で掃除を仕上げる。
次に向かったのはトイレ。
妻は結婚してから一度も自宅のトイレの掃除をしたことがない。これは私の役目になっている。
とりあえず便器全体を次亜塩素酸で殺菌。
しばらく置いてから、今度は汚れを界面活性剤で落としていく。
小さな子供がいるとトイレの汚れが酷くなるが、子供たちが育ってくるとあまり汚れなくなる。
それは望ましいことではあるのだが、子供たちのおむつ離れのトイレトレーニングで間に合わなくて、床一面が大変なことになった頃が懐かしい。
尿石はメラミンスポンジで軽めに研磨、ウォシュレットのフィルターやノズルの清掃。
仕上げに全体を消毒用アルコールで除菌。
着ているパジャマを洗濯機に放り込んで、風呂場に行ってシャワーを浴びる。
そのタイミングで、浴槽の循環パイプの掃除。いつも思うのだが、このジャバという洗剤は効いているのだろうか。
細長い超音波プローブで管の中を掃除したい気持ちになる。
そして再び布団に戻る。
妻と子供たちが帰ってきた。
子供たちは相変わらず落ち着きがなくて暴れ回っているが、産まれてしまった以上は育てねばならない。
妻としては夫が少しでも家事に取り組んだことで少しは満足してくれているようだ。
大噴火を回避して新年を迎えるため、気を抜かずに行こう。