2020/05/21

裸足用途のペダルプレートで轟沈

自転車用品の通販というものは、とかく期待通りの品が手に入ることの方が少なかったりもして、まあそういった宝探し的な要素で無駄金を使ったりもするものだ。


10年以上もロードバイクに乗ってきて、自分なりに定番のパーツやウェアを購入するようになってきたので失敗は少なくなったが、最近の私は定番ではないものに手を出して痛い失敗を続けている。

そして、今回の買物は本当に痛い。

状況を整理すると、昨年の夏頃に、スピンバイクとしては中上位機種に相当するパワーマジックを手に入れた私は、コロナ禍の中でもあまり影響を受けずに室内でペダルを漕いでサイクリングを楽しんでいた。

そもそもパワーマジックを手に入れた理由自体が、共働きの子育てに加えて、上の子供の中学受験の準備が入ってきて自由な時間が減り、ロードバイクの実走に出かけることが難しくなったという点だったので、コロナ禍がやってくる前からサイクルライフが室内トレーニングにシフトしていた。

つまり、室内でサイクリングを続けていた状態で外出自粛になっても、元からあまり外に出ていなかったので影響が小さかったというわけだ。

ロードバイクに比べると、スピンバイクにおいては消耗品がほとんど必要ない。

ロードバイクで使っていないペダルやサドル、パワーメーター、サイクルコンピューターを取り付けた後は、カスタムを施すこともなく淡々とペダルを漕ぐのみだ。

パワーマジックの場合には、室内トレーニングで懸念される汗対策も十分になされていて、汗が落ちそうな部分にはあらかじめ樹脂製のカバーが取り付けられていたりもする。

ところが、人の欲....いや、私の欲はなかなかのもので、室内トレーニングの準備をより簡単にするために、普段の下着と裸足でスピンバイクを漕ぐことができないだろうかと考えた。

イメージとしては、朝起きて、パジャマを脱いで、そのままスピンバイクに乗り、仕事から帰ってきて、服を脱いで、そのままスピンバイクに乗るといった感じ。

この目的を達成するためには、①レーシングパンツがなくても痛くないくらいのサドルと、②裸足で漕ぐことができるフラットペダルの2点が課題となる。

①については、VELOのVL3147という分厚いサドルを手に入れたので、1時間くらいのトレーニングならばサイクルパンツが必要ないかもしれない。

VELOのコンフォートサドルを使い始めるまでは、ロードバイクの場合と同じくフィジークのアリアンテを使用していたが、座骨に強い痛みがあって耐えられなかった。

また、VL3147と同じタイプで穴開きではないVL3061というモデルがあるのだが、室内トレーニングでは今ひとつ座骨の負荷が大きくて気に入らなかった。

おそらく、VL3147の穴開きは尿道への圧迫を避けるという目的でデザインされているはずだが、穴を開けたことでサドルの剛性が落ちてゆがみ、結果として腰の骨に上手くフィットしているという棚から何とやらなのかもしれない。

このようなサドル選定も沼のようなもので、個人の好みに合うモデルを選ぶまでは無駄金を使い続けることになる。思ったよりも早くにスピンバイク用のサドルが見つかって助かった。

次に、②の課題である「裸足で漕ぐことができるフラットペダル」さえ手に入れれば、私はパンツ一丁でスピンバイクのトレーニングを楽しむことができる。

最短距離で目的を達成するのであれば、エアロバイク用のペダルを取り付けるという形になる。

しかし、短時間でのルーティーンではなくてガッツリと漕ぎたい時には、レーシングパンツを履いてビンディングシューズを履きたい。

ということで、SPD-SLのペダルに「ペダルプレート」というアタッチメントを取り付けてみてはどうだろうかと考えた。

ペダルプレートは、Amazonで千円くらいの値が付いて販売されているが、販売はAmazonではなくて中国系の住所が書かれたショップが多い。

大丈夫なのか不安になったので、ワールドサイクルで二千円くらいのペダルプレートを購入して、早速取り付けてみた。

商品名は「ペダルプレート 2.0」というそのままのネーミングだ。

9000系のSPD-SLのペダルの固定を最大まで緩めて、ペダルプレートを取り付ける。コツさえつかめば大して手間もかからない。

「うん、これは素晴らしいではないか」と、スピンバイクに乗ってペダルを漕ぎ始めたところ、非常に大きな違和感を覚えた。

このペダルプレートは、もちろんだが裸足でペダルを漕ぐためには設計されていない。スニーカーなどを履いてSPD-SLのペダルを漕ぐためのものだ。

プレートの表面に滑り止めとして加工されているたくさんの突起が裸足の裏に食い込んで、青竹踏みよりもずっと強烈な痛みがやってきた。

まあ、これはこれで健康に良いかもしれないので我慢したのだが、ペダルプレートには、さらに大きな欠点が認められた。

ペダルプレートを付けてペダルを漕ぐと、ここまで不安定なのかと驚くばかりにペダルが揺れる。

ペダルを踏もうとしても、軸への力が逃げてしまう。

この現象は、ペダルの平面に対して、ペダルプレートの厚みがクサビのように傾斜していて、踏力が垂直方向にかからないことに起因するのだろう。

つまり、設計段階でサイクリストによる検証が足りなかったと思われる。

サイクル関連のアイデア商品によくあるトラブルだ。

サイクルメディアやショップのサイトで「アイデア商品」という体のアピールがあった時には注意した方が良いことを思い出した。

無駄金を使う地雷が埋まっているどころか、地雷原だ。

他方、ブルベに参加している人たちが使っているサイクル用品は、リーズナブルで使い勝手が良く、耐久性が高かったりする。

サイクルメディアからの情報はアテにならないが、1回のレースで600kmといった過酷な条件を走り抜くブルベ人からの情報は頼りになる。

もとい、ペダルプレートを使っている時に力点を安定させようとすると、足の指でSPD-SLペダルを掴んで漕ぐか、足首を斜めにして母指球を使ってピンポイントでペダル軸に力を加える必要がある。

そのような漕ぎ方をすると足を痛める。

なんてことだ。新しいことを試そうとしたから、このような結果になった。

室内トレーニングにおいて、シマノのSPD-SLペダルを裸足で漕いだことがある人なら分かるはずだが、思ったよりも普通に漕ぐことができる。

ならばペダルプレートを取り付ければさらに快適に裸足ペダリングが可能ではないかと思ったことが間違いだった。

足の裏が痛い上にペダル軸に力が入らないということで、しばらく漕ぎながら思案した後、とても残念な気持ちでペダルプレートを取り外した。

この違和感は、おそらくスニーカーを履いても同じことだろう。ペダル面が軸の水平面に対して斜めになっているのだから。

このペダルプレートは、加工しなくてもドアストッパーとして使うことができそうだ。1個あたり千円もする立派なドアストッパーだな。

結果、今後も靴下とビンディングシューズを履いてスピンバイクに乗ることに決めた。

SPD-SL用のペダルプレート2.0は、ワールドサイクルで私が購入した直後に品切れになった。

あまり売れずに在庫限りだったということか。最初から書いておけよとまでは言わないが、ユーザーレビューは大切だと実感した。

私なりには、★☆☆☆☆ という評価だ。

よほどにペダリングが斜めになっている人、普段から底が前に向かって傾斜している靴を愛用している人、あるいは意図的に敗北感を知りたい人にお勧めしたい。

サイクリストが数千円の用品を試して、そのまま使わなくなるというパターンはよくある。その場合に反省することはとても大切だな。

実際に試してみないと、ずっと心の中で引っかかり続けることだとはいえ、裸足でスピンバイクを漕ぎたい時には、やはりエアロバイク用のフラットペダルが必要だな。

私の場合には、期待外れのサイクル用品を買ってしまった時、その金額で牛肉を買うとどれくらいのものが手に入ったのかを想像することにしている。

二千円も払えば、米国産の赤身ステーキ肉を4枚くらい買えたかもしれない。

これからは無駄金を使わないように注意したい。

通販でサイクル用品を注文する時には、牛肉に換算しよう。